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5-2 落ちこぼれの花嫁
二人は少しの間、互いに見つめ合っていたが。
「…俺は、そんなに笑っていなかったか?」
不意に律が発した言葉に、紅悠は一瞬呆気に取られてから、大きく頷いた。
「最初のうちは、旦那様は笑わない方なんだと思っていました」
「そうか…そんなつもりはなかったんだが」
口元を押さえつつ、目線を反らす律。
「…分かった。明日から、仕事の一部を紅悠に頼もうと思う」
紅悠の瞳が、ぱっと輝く。
「…よろしいんですか?」
「ああ。首長の仕事の中には、家族と協力して行っていたこともあるようだから、問題ないだろう」
(家族…)
胸の奥が、じんわりと温まるのを感じた。
紅悠は律の前で姿勢を正すと、丁寧に頭を下げる。
「旦那様、明日から、ご指導よろしくお願いいたします。」
律も改めて座り直すと。
「こちらこそ。」
そうして二人、微笑みあってから。
「あっ…ご、ごめんなさい、お蕎麦、のびてしまいましたね」
「いや、のびても美味いから、構わないさ」
言ってから、律は再び椀を取る。
こうして紅悠は、律の仕事の補助をすることになったのだ。
結界づくりを紅悠に任せてから、律は自室で仕事を進めていたが、しばらくすると紅悠が部屋を訪ねてきた。
「旦那様、奥の間の結界が出来上がりましたので、確認していただけますか?」
「分かった、今行く」
紅悠について、律が奥の間へ足を踏み入れると。




