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四話 序列二位はストーカー

「何で私が世界君のことを知ってたかって?」


 俺は飲む気にもならないお茶を置いて、うんうんと頷く。


「それはね、私の魔法道具(マジックアイテム)に遠見の結晶っていうのがあるの。ほらこれ綺麗でしょう?」


 そう言って自分の服に手を入れ、まさぐる。

 ……いや、見てない。

 ちょっとしか見てないからね!

 これ、と言って手に持っているのは、色が変化する石のついた綺麗なペンダントだった。

 石は小ぶりで、人差し指の第一関節分ぐらいしかない。


「これで、こうやって、っと。ほら見て、今私たちが映ってるでしょう? ずーっと世界君を見てたのよ。えへへ」


 やばいこの人凄い変態だ。

 それって魔法を使って行う上級スキルの『TOUSATU』ですよね……。

 盗撮ってどっかでバレるけど、アナシスは隠すどころかそのチャンネルを合わせて俺に見せる。

 どこにカメラがあるの、おーいフレイヤ国の人見えてますかー?

 っと、危ねぇ。

 ついつい許してしまいそうになったが、これはいけない!


「おい! やめろよ!! もしかして、俺のあんな姿(殴られてる)やこんな姿(風呂上がりとか)も見たのかよ!」


「あんな姿やこんな姿? 勿論見たのだけれど!」


「開き直らないで欲しいのだけれどおおおお?」


 ぜえぜえと息を切らしながら、俺は盗撮について異議を申し立てる。


「それでね、どうしても会いたくなって来てしまったって訳なのよ。どう? 嬉しいかしら?」


「ばっか! もしこのまま黙ってれば運命的なあれだったかもしれないけど、アナシスは完全に犯罪者だから! 俺の股間も見られてたなんて考えたら、もうラブコメれないから!」


「……もうやだ、世界君ったら! 股間を見たなんて! ……ちょっとなの、ほんのちょっとだけなの!」


 顔を赤らめながら、アナシスはそう俺のズボンを見る。


「見てんじゃねぇかあああッ! 見た見てないにちょっともクソもねぇから!!」


 こんなストーカーチックな好意を向けらたのは初めてだ。

 おうおう、うちの四位様見習えよ!

 あれこそ騎士だぞ、王道の騎士だ!


「ここからが本題なのだけれど、本気なの? 魔物組合に対して離反を叩きつけ、ぶっ潰すって」


「ぶっ潰すとは言ってねえ。けど、……本気も本気。大真面目だぞ。何で俺たちは勇者の糧にならないといけないんだ? 何で魔物組合の言う通り働かないといけないんだ? それって変だろ」


 真剣に目を見つめてそう言った。


「……そう、ね。私はずっと旅してきたからあんまり世の情勢を知らないけれど、その考えには賛成だわ」


 アナシスはそう目を反らすように、下を向いて言った。


「私はね、始めは新しい魔王かー。くらいにしか世界君を見てなかったけど、だんだんと真っ直ぐで可哀想な世界君に惹かれてしまったの。何ていうのかしらダメ人間を好きになるっていうか、そんな感じかしら。だからね、力になりたい」


「可哀想は要らなくない? というか、俺たち会って一時間くらいなんだけど……」


「時間ってそんなに大事かしら? 少なくとも私はずっと見てたし、理由としてはこれで充分だと思うけれど」


 実は俺、告白された事ないんだよなぁ。

 レイカの直球感謝もグッときたし、俺はどうやらストレートに弱いらしい。


「だからね、世界君。魔王序列二位アナシスが協力するわ。好き好きじゃないはその後でも良いの。ダメかしら?」


「はぁ、そんなキラキラした目で見るなよ、そういうの俺弱いから。……その遠見の結晶は封印しとけよ? どのみち元々協力者が欲しかったんだ。……こちらこそ宜しく頼む」


「やーった! では、世界君! 服の匂いを嗅ぎたいから、上着脱いでくれないかしら?」


 協力してくれるらしい魔王は、やっぱり変態だった。

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