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三話 序列二位

「ここがアルミナレか。やべえ超迷宮」


 ようやっと辿り着いた国アルミナレは巨大だった。

 そしてフレイヤ国とは違い、明らかに人と魔物が共存している。

 単なる魔物の国じゃなさそうだ。


 ……あっ、そうだ。

 ちなみに今俺は迷子です。


「ケルベロスとグレッチェンを預ける所まで問題なかったんだ。それが何でこんな短時間ではぐれた俺」


 これならエクシスなりに手を引いて貰ってれば良かった……。

 ヘルメイヤの町もそれなりに大きいと思っていたが、こんなの最早ダンジョンじゃねーか。

 複雑に入り組む路地、見た事あるようなそんな建物が並んでいて方向感覚をおかしくさせる。


「……俺のこと探してくれてるよね? 期待しても良いんだよね?」


 迷子の時は闇雲に動かない、これが鉄則だ。

 よし、ここで座っておこう。

 人の行き交う道の外れで俺は地に座った。


「ああああ! 今まで転生してきた奴らはどうやって生きてんの? 多分本当なら開始三秒くらいで死んでた側の人間だから一人とか無理!!」


 独り言でも呟くしかなかった。

 それにしても乾燥した町だなぁ。

 砂漠とか、そういう言葉がしっくりくる。


「あら、はぐれたりしたの? 今お一人かしら」


 一人でブツブツ呟いていた俺を見て、女の子が声をかけてくれた。

 歳は十八とかそこらだろう。

 多分、俺より幼い。

 身長はどれくらいだろう、リザよりも大きくてエクシスより小さいくらいか。

 その美人という言葉が当てはまる女の子は、赤いピンクに近いような髪を束ねて、紫色の瞳をしていた。

 腰にぶら下がっている、歪曲になっている東洋剣は身体に似合わず大きい。

 立ち振る舞いからして、明らかに身分差を感じる。

 そしてその優しそうな声音に、俺は思わず助けを求めそうになった。

 ……あれ? こういう時に誘拐とかされんのかな。


「まぁ今はそんな感じだ。仲間と旅してきたから本当はもう何人か居るんだけどな」


「そうなの。この町ではぐれたら中々大変ね。こちらで探しますよ? そうだ、その前に食事に付き合ってくれないかしら。お腹が空いちゃって」


 ……これは誘拐の手口!

 俺は騙されない、ちょっと美人だからって気を許すほど俺は甘っちょろくねーぞ!



「へえ、なら世界君はヘルメイヤから来たのね?」


「ここほど大きくはないけど結構住み心地は良かったなぁ。アナシスはずっとここに?」


 すげえ、美人って優しい!

 ご飯もご馳走してくれたし、こんな人が悪い人の訳がない。

 俺はすっかり懐柔されていた。

 ご飯食べ終え、食後のお茶まで注文してくれたのでそれを啜りながら話をする。


「いえ、私も旅を。こう見えても自由人なの」


「そうなのか。女の子一人ならめちゃくちゃ大変じゃないか?」


「ううん。あまり不便なことは無かったかしら」


 俺なんて迷子になったくらいで、騒いでいたのにアナシスは平然と一人で旅していると聞いて俺は驚いた。


「世界君はどうして旅しようと思ったの? ヘルメイヤは、いえカースドでは物足りなかった?」


 今、何て言ったんだ?

 カースドって、どうして知ってる?


「……クソ、ここでも魔物組合、か!」


 反射的に状況を察する。

 まさか迷子になったのも、こいつのせいで……!


「落ち着いて、私は組合でも敵でもないから。世界君って面白いのね」


 クスクスと笑うアナシス。

 ……まだ信用してはいけない。


「そんなに身構えないで欲しいのだけど。……初めまして、序列七位見つからずの魔王君。序列二位幻想魔女 アナシス・マジクです」


 ……二位。

 な、目の前の彼女が、序列二位だと言うのか。


「もう、信じてないって顔してる。分かりました。……タイム」


「なっ、周りの時が止まって、る?」


 反則ではないか、これでは。

 それまで町の人がわいわいと話していたり、足音がたくさん聞こえていた。

 それが今では一切聞こえる事はない。

 凍てつく、そんな言葉がぴったりだった。


「はい、解除。……これで少しは信じてくれたかしら? あれ、世界君? おーい!」


「なんだ、これ……!」


「ちょっと刺激が強かったかしら。と言っても時を止めれるのもほんのちょっとだけだし、範囲も決まってるのだけれど」


 そう言って、アナシスは俺にお茶を勧めてにこりと笑った。

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