女の密談じゃけえ
グロリアーナの髪はそれ自体が発光していた。
これは、感情と魔力が高まっている証拠だ。
マリちゃんに聞いたことがある、4大伯爵家はそのルーツが4大精霊にあるという。
火の精霊サラマンダー、水の精霊オンディーヌ、風の精霊シルフィ、土の精霊ノーム。
それらの上級精霊と人との間に生まれた子供が4大伯爵家の始祖になったのだという。
大分血は薄くなっているとはいえ、精霊の加護と魔力、そして身体的特徴を持つという。
シャンタルメリュー家に受け継がれているサラマンダーの特徴は耐火性のある皮膚と髪、それから金色の眼に表れている。
余談だけど、マリちゃんは、金色の髪ととても強い筋力があった。
・・・とてもどうでもいいか。
今、重要なのは、グロリアーナの髪が光っている。
つまり、感情が高まっているということだ。
グロリアーナは部屋に唯一ある窓を背にして立っている。
つまり、窓から逃げることはかなわない。
部屋の扉は俺のすぐ隣にあるが、ドアを開けようとした瞬間グロリアーナの魔法で丸焦げだろう。
すると、俺のとるべき手段はグロリアーナが攻撃する前に先手を打って戦闘不能にするか、グロリアーナの攻撃を受けきるしかない。
ただ、当然部屋も俺も無事でいられる保証はない。
2人でワイバーンを相手にできる程度には高いのだろうし、グロリアーナの本領は動き回る1体の飛翔体に発揮されるものではないだろう。
重く、ねっとりした空気が部屋を包む。
一言でも発したら、キレまくったグロリアーナが何をするかわからない。
・・・仕方ない
俺は、来ていたドレスを脱ぎ捨てた。
「・・・っ」
グロリアーナから声にならない声が聞こえた。
「何をしておりますの?」
「グロリアーナ。俺は君に敵意はない。むしろ、敵の敵は味方っていうだろ?」
グロリアーナは細身の剣を抜いて、俺に突き出した。
「隷属の入れ墨を入れるのであれば、信頼しますわ」
すこしづつグロリアーナの髪に宿った光が消えていく。
隷属の入れ墨とは、北方貴族が自身の奴隷に施す入れ墨だ。
貴族の当主が使用する加護「隷属」よりも強力に入れ墨を施したものを支配できる。
かつては、死ぬまで息を止めろ。命令でさえ上がらうことができなかったというのだから、その非道さがわかる。
「私がシャンタルメリュー家の当主となった暁に、その入れ墨が消えるように契約いたしましょう」
「条件付きの時限爆弾ってことか…」
反抗することはもちろん、いざというときに逃げることもできない。
それに、感情の起伏が激しいグロリアーナの匙加減に命を預けるというのもなあ・・・
「わかったよ。けど条件がある」




