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加護持ち領主の和平活動  作者: アイゼン・ジム・トンプソン
第三部 タクミの成り上がり編
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女の密談じゃけえ

グロリアーナの髪はそれ自体が発光していた。

これは、感情と魔力が高まっている証拠だ。


マリちゃんに聞いたことがある、4大伯爵家はそのルーツが4大精霊にあるという。

火の精霊サラマンダー、水の精霊オンディーヌ、風の精霊シルフィ、土の精霊ノーム。


それらの上級精霊と人との間に生まれた子供が4大伯爵家の始祖になったのだという。

大分血は薄くなっているとはいえ、精霊の加護と魔力、そして身体的特徴を持つという。


シャンタルメリュー家に受け継がれているサラマンダーの特徴は耐火性のある皮膚と髪、それから金色の眼に表れている。

余談だけど、マリちゃんは、金色の髪ととても強い筋力があった。


・・・とてもどうでもいいか。


今、重要なのは、グロリアーナの髪が光っている。

つまり、感情が高まっているということだ。


グロリアーナは部屋に唯一ある窓を背にして立っている。

つまり、窓から逃げることはかなわない。

部屋の扉は俺のすぐ隣にあるが、ドアを開けようとした瞬間グロリアーナの魔法で丸焦げだろう。


すると、俺のとるべき手段はグロリアーナが攻撃する前に先手を打って戦闘不能にするか、グロリアーナの攻撃を受けきるしかない。


ただ、当然部屋も俺も無事でいられる保証はない。

2人でワイバーンを相手にできる程度には高いのだろうし、グロリアーナの本領は動き回る1体の飛翔体に発揮されるものではないだろう。


重く、ねっとりした空気が部屋を包む。

一言でも発したら、キレまくったグロリアーナが何をするかわからない。


・・・仕方ない


俺は、来ていたドレスを脱ぎ捨てた。

「・・・っ」


グロリアーナから声にならない声が聞こえた。

「何をしておりますの?」

「グロリアーナ。俺は君に敵意はない。むしろ、敵の敵は味方っていうだろ?」


グロリアーナは細身の剣を抜いて、俺に突き出した。


「隷属の入れ墨を入れるのであれば、信頼しますわ」


すこしづつグロリアーナの髪に宿った光が消えていく。

隷属の入れ墨とは、北方貴族が自身の奴隷に施す入れ墨だ。

貴族の当主が使用する加護「隷属」よりも強力に入れ墨を施したものを支配できる。


かつては、死ぬまで息を止めろ。命令でさえ上がらうことができなかったというのだから、その非道さがわかる。


「私がシャンタルメリュー家の当主となった暁に、その入れ墨が消えるように契約いたしましょう」

「条件付きの時限爆弾ってことか…」


反抗することはもちろん、いざというときに逃げることもできない。

それに、感情の起伏が激しいグロリアーナの匙加減に命を預けるというのもなあ・・・


「わかったよ。けど条件がある」


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