モグラ娘との戦いじゃけえ
最近ゴマダレとか、胡麻ドレッシングを買うことが多いのですが、やっぱり安いのはあまりおいしくないですね。
アイゼンより☆
「ほらほらほら、後はありませんわよ」
マリアは恐ろしい勢いでシャベルを振り回す。
既に、俺の寝室はズタボロになっている。こっそり侯爵家の屋敷から持ってきたクマのぬいぐるみ、ミヒャエルが幼いころに使っていたもの、も吹き飛んでしまった。
「エーテルガード!」
アドナイアスの杖から発せられた透明な膜が俺達を包む。
「あらあらあら、良いんですの?中級防壁で足りるほど、私のフィダルゴブラッキーは甘くはありませんことよ」
マリアは完全に遊んでいる。
「良いんですよ、なぜなら…」
アドナイアスは右手に握った杖を左手に持ち替え、銀色のメダルを取り出した。
「顕現なさいベルドゥダム!」
メダルが光り、めっちゃ怖いのが出た。
真っ黒な粉にまみれた毛の長い犬。そこまでは普通の犬だ。ただ、吠えるたびに口と尻から金色の蛇が顔をのぞかせるのを除けば。
「なんなんあれ?」
ベルドゥダムはけなげにシャベル、いやフィダルゴブラッキーをかいくぐり、マリアをけん制している。
「ベルドゥダム、私の使役する5匹の召喚獣のうちの1匹です」
「…その、そのどっちがベルドゥダム?」
「どっちとは?」
「あのわんこがベルドゥダム?それとも…」
「それとも、なんですの?」
マリアが俺たちの前に立ちふさがった。かわいそうなベルドゥダムは口から蛇を出してすっかりのびている。
「アドナイアス様。戦いの途中でおしゃべりだなんて、あなたらしくもありませんね」
アドナイアスが不敵に笑った。
「…ふふん」
あ、これあかんやつじゃ。
「かかりましたね!」
「おいマリア、避けろっ!」
「弾けろベルドゥダム!」
双頭の黄金蛇、ベルドゥダムはマリアに接近すると、爆発した。
「エーテルを使用した防壁は衝撃に強いのですよ」
防壁の外は粉塵と煙に包まれ、何も見えない。
「ベルドゥダムの真骨頂は宿主の体を爆発物に変えることにあります」
宿主って…あのわんこじゃないよな。
「ああ、やっぱり金色の方がベルドゥダムなわけね。ところで、マリアは無事?」
「死にはしませんよ。体の方にも加護がかかっているでしょうし」
ガルバリウスもいるしな。
加護か、掘削とかの加護があるって言ってたし、落盤から身を守る加護とかもありそうだな。
あれっ。そういや…
「…なあ、この世界って掘削に発破って使うのか?」
「ええ。法術を併用したものですが」
「じゃあ、爆発無効とか爆発防御とかの加護があるんじゃないのか?」
「…ミヒャエル様」
「はい」
「お逃げください」
次の瞬間、俺とアドナイアスはフィダルゴブラッキーに吹き飛ばされた。
「やっぱりか」
体が全く動かない。多分、腕の骨が折れている。
「…動かないでください。殺すつもりはありませんから」
マリアが俺の首にフィダルゴブラッキーを突き付ける。
「ははっ、降参だ、降参。なあマリア、アドナイアスは無事か?」
「ええと…」
マリアはフィダルゴブラッキーを引きずりながら、倒れたアドナイアスの肩を叩く。
「アドナイアス様!大丈夫ですか!」
「アドナイアス!大丈夫か?」
「ううっ…」
アドナイアスはうめき声をあげて身を起こした。
「ミヒャエル様ご無事ですか?」
「ああ、お前は?」
「私も無事です。多分肋骨が折れていますが」
「俺も腕が折れたっぽい。でさ、当初の目的は達成できたと思うか?」
「…ええ、十分に」
マリアがシャベルを構える。
「何をおっしゃっているのですか?」
俺は体を起こし、モンセラートを手に取った。
「お前は詰めが甘いんだよ。当初の目的はもう達成された」
「それはどういう…」
「だよな、ジルバンテ」
「ええ、ミヒャエル様」
槍(凶槍ビーチク丸)を持ったジルバンテが入り口に立っていた。




