ep.684 満員御礼、銀河の来場者
「にゃうにゃあ!皆さん、見てください!スタジアムのサキニウム・スピーカーが、未知の生体反応をビンビンに拾っているのですー!!」
咲姫がスタジアムの中央土俵でカメラを構え、地平線を指差しました。ジャングルの樹々が、まるでもやしのように左右になぎ倒され、巨大な影がこちらへ向かって移動してきます。
「……計測開始。質量、大型輸送船3隻分。速度、時速40km。……咲姫監督、あれは『お客さん』というより、『災害』に近いかと」
ハヤテが冷静に数値を報告しますが、その声はわずかに震えています。霧の中から現れたのは、全身が「はい・よー」の野菜に擬態したような緑色の鱗に覆われ、背中に巨大な「石長族(喋る岩)」をいくつも背負った、超巨大なカメのような古龍、【銀河香味龍】でした。
「……ふむ。数万年ぶりに、私の同胞(石)たちが楽しそうに歌う声が聞こえた。……そして、この鼻腔をくすぐる、懐かしくも新しい『出汁』の香り……」
背中の岩たちが、スタジアムの音響に合わせてコーラスを始めました。『はい・よー……はい・よー……♪』
「がははは!いい面構えじゃねえか!客がデカければ、俺様の張り手もやり甲斐があるってな!」
雷電が土俵で豪快に笑い、四股を踏みます。その振動に応えるように、巨大龍もまた、ズシンとスタジアムの入り口にその巨体を鎮座させました。
「あはは、あの子、お腹を空かせてるみたいだよぉ。果林、あの大きな口に合うくらい、特大のスープを用意してあげて」
うさちぁんが酒樽を叩いて合図すると、ナットクリスタが地下氷室から、キンキンに冷えた「発酵香味液」をバケツごと運び出してきました。
「……ちょうどいい。私の新しいキノコ菌が、この龍の胃袋でどう発酵するか……実験には最高だ」
「ひぎィィィ!龍の食事代なんて、僕のNkQ(時給)が何千回生まれ変わっても足りないニャーー!!」
猫二が経理タブレットを抱えて泡を吹く中、ネギ新人だけは、その巨大龍の瞳をじっと見つめていました。龍の背中の岩が歌うたびに、彼の「余白」の数値が、ついに制御不能なインフレを起こし始めます。
「……あ。……わかる。あの龍、隠し味に『サキニウムの塩漬け』を欲しがってる……。僕、ちょっと採ってきます」
ネギ新人の掌の数字が、一瞬だけ【測定不能(INFINITY)】に輝きました。銀河版エトスフェリア、最初のお客さんは、惑星そのものを飲み込みかねない「食通の巨龍」だったのでした。
【現在の状況】
来場者:銀河香味龍。スタジアムの入り口を塞ぐほどの巨体。
ネギ新人:龍との共鳴により、「余白」が覚醒の臨界点に。
猫二:龍の「食べ放題プラン」のコスト計算で、ついに魂が抜けかける。
常識をぶち破る咲姫vs超巨大亀(の胃袋)勝つのはどっちだ?




