ep.663 黄金の是正勧告、あるいは「レモン色の法執行人」
「ひぎィィィ!数字と愛のダブルパンチで、僕の時給がマイナス無限大に加速していくニャー!誰か……誰か僕を、福利厚生も何もない、ただの汚いドブ川に捨ててニャーーー!!」
ウェディングケーキの堆肥の中で猫二が絶叫し、極新人が「へそくりによる利益消失」の計算にフリーズし、サヨが「家族の貯蓄」という名の略奪を完了させようとした、その時です。
披露宴会場の重厚な扉が、物理法則を無視した「ミャー!」という咆哮と共に蹴破られました。
「そこまでだ!この極悪非道なブラック披露宴に、法と正義のメスを入れるミャ!!」
乱入してきたのは、眩い「蛍光ネオンイエロー」のタイツを光らせたレモンイエローの貴公子。その腕には、マジックペンで書き殴られた『宇宙労働基準監督署(兼・猫の幸せ守り隊)』という腕章が巻かれています。
「にゃうにゃあああ!来たのです!『純愛』を掲げていたはずのライバルが、まさかの『公権力(自称)』を武器に再登場なのですー!!」
咲姫がカメラを貴公子の股間にズームさせ(タイツの反射を抑えるため)、狂喜乱舞します。
「……不可解です。未開人の神官に、我が宇宙城の労働環境を査察する権限は存在しません。速やかに退場してください。さもなくば、不法侵入による損害賠償を時給22NkQ換算で請求します」
「黙れ、レモンの計算機よ!私が問題にしているのは利益ではない、この披露宴の『労働条件』だミャ!見ろ、この聖なる小聖人(猫二)の姿を!!」
貴公子は堆肥まみれの猫二を指差し、涙ながらに叫びました。
「披露宴が始まってから30分。猫二さんには『3時のおやつ(金メッキ仕様の高級猫缶)』が一度も支給されていないミャ!これは明らかな労働基準法違反、および『猫の尊厳維持法』に対する反逆だミャ!!」
「さらっと。……論点が致命的にズレました。貴公子様、法執行人を自称しながら、結局は『猫二さんに貢ぎたいだけ』のようです♪」
「何を言うミャ!おやつ休憩のない披露宴など、ただの拷問ミャ!さあ猫二さん、この『伝説のまたたび原木』を齧って、あんな冷徹な計算機や、借用書を振り回す女性たちのことは忘れるミャ!!」
「ひぎィィィ!そっちも地獄ニャ!『またたび』でラリらせて、なし崩しに契約させようとする魂胆が見え見えニャーーー!!」
極新人の「効率」、サヨの「福利厚生(家計差し押さえ)」、そして貴公子の「狂気の厚生施設」。
逃げ場を失った猫二が、再び「ゴミ捨て場」という名の聖域を求めて這いずり回る中、咲姫のシャッター音だけが、この「銀河一救いのない披露宴」を無慈悲に記録し続けるのでした。
ガチファンは怖いという話




