ep.661 黄金の執行者、あるいは「時給22NkQの神裁」
披露宴会場のメインテーブルに突っ込み、レモン堆肥まみれになった猫二と、絶望に瞳を濁らせる騎士。サヨが婚姻届を突きつけ、アリスがチェーンソーを振り上げたその瞬間――。
会場のすべての照明が、目に刺さるような冷徹な「白」へと変わりました。
「……計算終了。これ以上の無駄な感情的リソースの消費は、我が宇宙城の運営利益を著しく損ないます」
会場の中央に、今までになく巨大で鮮明な極新人のホログラムが浮かび上がりました。その背後には、数千、数万という「22NkQ」の数式が牙を剥くように展開されています。
「にゃうにゃあ!?極新人君、演出を変えるなら事前に連絡するのです!今のライティング、咲姫のカメラが白飛びしちゃうのですー!!」
「却下。咲姫様、あなたの『撮れ高』という不確定要素も、今の私の計算には含まれていません」
極新人が指をパチンと鳴らすと、天井から無数の「雇用契約書(粘着性・高電圧)」が触手のように伸び、サヨの判子を、アリスのチェーンソーを、そして咲姫のカメラまでもを一瞬で絡め取りました。
「あはは!極新人くん、本気出しちゃったのぉ?魔法陣のアルコールまでフリーズしちゃってるよぉ~」
「うさちぁん、アルコールによる物理法則の歪みも、時給計算の『余白』として修正済みです。……さて、騎士様、並びに猫二様」
極新人の冷たい視線が、堆肥の中から顔を出した猫二に注がれます。
「あなた方は現在、この披露宴会場の使用料、および脱走による業務遅延損害金として、合計220億NkQの負債を抱えています。これを支払えない場合……」
極新人の手が巨大な計算機へと変貌し、披露宴会場の壁一面に「強制労働スケジュール(3万年分)」が投影されました。
「……ふふ。……極新人、お前、まさか……。私をサヨの呪縛から救う代わりに、お前の『永久社畜』にするつもりか……?」
「救済ではありません。資産の再配置です。騎士様、あなたの筋肉は今日から我が城の『自家発電用タービン』として、猫二様は『自動堆肥撹拌ユニット』として、時給22NkQ(固定・昇給なし)で24時間稼働していただきます」
極新人の放つ圧倒的な「効率」の圧力が、サヨの愛憎をも、アリスの重圧をも物理的に押し潰していきます。これこそが、感情を排し、ただ数字のみで宇宙を支配する極新人の真の実力。
「ひぎィィィ!格好いいけど、結局地獄ニャ!誰か、僕を普通のゴミ捨て場に帰してニャーーー!!」
猫二の悲鳴が響く中、極新人は無慈悲に「執行」のエンターキーを叩きました。
極新人、覚醒する!?
たまには活躍の場を与えようとしたら・・・




