SeSk03.咲姫、帰宅してからの独白
部屋に戻った咲姫は、扉を閉めた瞬間、ベッドにダイブした。
「~~~~っっ!!」
枕に顔を埋めて、バンバンバンッと叩く。
「なんで……なんであんな顔で……あんな声で……あんな淡々と……!」
思い出すたびに、胸の奥が熱くなる。
「……むしろ何で気づかなかったの? じゃないですよ……!」
枕を抱きしめて転がる。
「気づけるわけ……ないじゃないですか……そんなの……反則……」
咲姫は布団に潜り込み、顔だけ出して天井を見つめた。
「……追ってこなかった……」
ぽつりと呟く。
「いや、追ってこられても困るけど……でも……でも……!」
胸の奥がざわざわする。
「……なんなの……もう……」
咲姫は布団を頭までかぶり、そのまましばらく動かなかった。
◇◆◇
翌日の気まずい再会
翌日。
咲姫は、いつもより三倍くらい慎重に廊下を歩いていた。
咲姫の心の声:
(いない……よね……? いや、いても別に……困らないけど……いや困るけど……!)
角を曲がる。
そこに――
孝平がいた。
咲姫、硬直。
孝平はいつも通りの淡々とした声で、
「おはようございます、咲姫さん」
咲姫は反射的に目を逸らす。
「お、おはようございますっ……!」
声が裏返る。
孝平は特に気にした様子もなく、
「昨日は驚かせてしまいましたね」
咲姫の心臓が跳ねる。
「~~~~っっ!! い、いえっ! 別にっ! 驚いてなんか……!」
完全に驚いている。
孝平は淡々と頷く。
「そうですか。なら良かったです」
咲姫の心の声:
(良くない!! 良くないけど!! 良いって言うしかない!!)
咲姫は逃げるようにその場を離れた。
だだだだだっ。
孝平は特に追わない。
◇◆◇
お茶会へ
咲姫が廊下を歩いていると、後ろから声がした。
「咲姫ちゃん、顔赤いよ?」
振り返ると、
お茶会メンバーのひとり――うさちぁんが立っていた。
「な、なんでもないですっ!」
即答。
「ふにっ……じゃあ、今日のお茶会来るよね?」
咲姫は一瞬迷った。
咲姫の心の声:
(行きたくない……いや行きたい……いや行きたくない……いや……)
そして小さく頷く。
「……行きます」
「よし、決まり。じゃあ準備しておくね」
咲姫は胸を押さえながら歩き出す。
咲姫の心の声:
(落ち着かなきゃ……落ち着かなきゃ……落ち着かなきゃ……!)
でも、頭の中には昨日の孝平の顔が浮かんでしまう。
「……は、反則なのです……」
小さく呟いて、咲姫はお茶会へ向かった。




