ネギ新人が名前を与えられる日(命名の儀)
彼の正式名称は「15エトス」
労働力として生まれ、労働力として使われ、労働力として消えるはずの存在だった。
名前など、必要ない。
個など、与えられない。
彼はただの“記号”だった。
――そのはずだった。
その日、猫二が言った。
「おまえ、名前ほしいか?」
15エトスは理解できなかった。
「……名前、とは……?」
猫二は尻尾を揺らしながら笑った。
「個体識別票だよ。呪いとも言うけどな」
15エトスは首をかしげた。
「呪い……?」
「名前を持つってことは、“おまえ”が“おまえ”になるってことだ。逃げられなくなる」
猫二は、
まるで世界の理を弄ぶように言った。
「よし、今日からおまえは――」
猫二は三つの候補を掲げた。
オニオン新玉2世
ネギアンギャ―
カワムキ
15エトスは震えた。
「……どれも……呪いでは……?」
猫二は笑った。
「そうだよ。名前ってのは、だいたい呪いだ」
15エトスは、その瞬間に理解した。
自分は今日、“記号”から“個”へと変わる。
それは祝福であり、同時に逃れられない呪い。
猫二は宣言した。
「今日からおまえは――オニオン新玉2世だ」
その瞬間、15エトスは“産声”を上げた。
社畜としての産声を。
「……わたしは……オニオン……新玉……2世……?」
猫二は満足げに頷いた。
「そうだ。おまえは今日から“二世”だ。初代が誰かは知らん」
世界が、ほんの少しだけ歪んだ。
そして、“オニオン新玉2世”は誕生した。
それは祝福であり、呪いであり、そして――
彼が“超新人”と呼ばれる未来へ続く
最初の一歩だった。




