↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
童子ちゃんはイケメン好き  作者: 雨宮ぐみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/30

第25話「ずっと一緒だよ」

第25話「ずっと一緒だよ」


家と土地の問題がまだ完全には解決していないものの、しばらくは今まで通りみんなで過ごせることになった。


朝。


「ママ、おはよう!」


ひまりが勢いよく布団に飛び込んできた。


「うわっ!」


ママが目を覚ます。


その直後――


「ママ、起きた?」


ももが反対側から抱きついてくる。


「ママ、朝ごはんできたよ」


さくらの声。


「……え?」


ママが起き上がると、部屋の外には五人が勢揃いしていた。


「今日は私たちが朝ごはん作ったの!」


ひまりが胸を張る。


テーブルの上には、おにぎり、卵焼き、味噌汁。


見た目はなかなか立派だった。


「みんな、作ってくれたの?」


「うん!」


ママは嬉しそうに笑った。


「ありがとう」


五人も嬉しそうに笑う。


ところが――


ママが卵焼きを一口食べた。


「……」


「どう?」


ひまりが期待いっぱいの顔で聞く。


「おいしいよ」


「本当!?」


「うん」


ママが笑う。


すると、すずが首を傾げた。


「でも、ちょっと甘いね」


「え?」


さくらも食べてみる。


「……甘い」


あんずも一口。


「これは……」


ひまりが慌てる。


「砂糖、いっぱい入れた!」


「どのくらい?」


「いっぱい!」


「料理で一番危険な答えだね……」


みんなが笑った。


ママも笑った。


その笑い声を聞きながら、恒一は少し離れたところで微笑んでいた。


「朝から賑やかだな」


「うん」


ママも嬉しそうだった。


「こういう朝が、ずっと続けばいいね」


恒一は静かに頷いた。


「俺もそう思う」


その言葉を、五人は聞き逃さなかった。


あんずがひまりの耳元で囁く。


「今の、ちょっといい感じじゃない?」


「何が?」


「大人の会話」


「よく分かんない!」


「ひまりにはまだ早いね」


「なんで!?」


さくらが二人を見てため息をついた。


「朝から恋愛会議しないの」


そんな騒がしい朝だった。


――そして午後。


ママが洗濯物を畳んでいると、ももが隣に座った。


「ママ」


「なあに?」


「ずっと一緒?」


ママの手が止まる。


「……うん」


「明日も?」


「うん」


「明後日も?」


「うん」


「ずーっと?」


ママはももの頭を撫でた。


「ずっと一緒だよ」


ももは安心したように笑った。


「よかった」


その会話を聞いていたすずが、ぽつりと言った。


「もも、まだ怖いんだね」


ももは少し俯いた。


「……また離れたら嫌なの」


さくらも近くに来る。


「私も怖かったよ」


ひまりも続く。


「私も!」


あんずも黙って頷いた。


「私も、ママがいなくなるの嫌だった」


ママは五人を見つめた。


「みんな……」


さくらがママの手を握る。


「もう大丈夫だよ」


ひまりが反対の手を握る。


「私たち、どこにいてもママを探すから!」


すずもそっと寄り添う。


「心が繋がっていれば、きっと大丈夫」


ももはママに抱きつく。


「ママ、大好き」


最後にあんずが笑った。


「だからママも、私たちを頼っていいんだよ」


ママの目に涙が浮かんだ。


「……ありがとう」


五人はママを囲んだ。


その光景を、少し離れたところから恒一が見ていた。


そして、静かに呟く。


「本当に、いい家族だな」


すると――


ひまりが振り返った。


「恒一さんも家族だよ!」


「え?」


恒一が固まる。


さくらも笑う。


「そうだよ」


すずも頷く。


「恒一さんがいると、家がもっと明るくなるから」


ももも手を伸ばす。


「恒一さんも、ずっと一緒!」


あんずはニヤッとした。


「家族認定です」


「勝手に認定されるものなのか?」


恒一が苦笑する。


ママも笑った。


「でも……私も嬉しい」


恒一は少し照れたように目を逸らした。


「……そう言ってもらえるなら、俺も嬉しいよ」


五人は嬉しそうに笑った。


そして夜。


布団に入ると、いつものように五人がママの周りに集まる。


「今日は誰がママの隣?」


さくらが聞く。


「私!」


ひまりが手を挙げる。


「私も!」


ももも手を挙げる。


「じゃあ、みんなで寝ればいいよ」


すずが言う。


「それが一番平和ね」


あんずが笑う。


結局、五人全員がママにくっついた。


「ちょっと、みんな……」


ママは苦笑する。


「重いよ」


「でも、幸せでしょ?」


あんずが聞く。


ママは五人を見て、優しく笑った。


「うん」


そして、一人ずつ抱きしめる。


「すごく幸せ」


五人も笑った。


「ママ、大好き!」


「私も!」


「私も!」


「私も!」


「私も!」


五人の声が重なる。


ママは目を閉じた。


離れ離れになって、初めて気づいた。


家族は、ただ同じ場所にいるだけじゃない。


どんなに離れても、互いを想い、帰りたいと思える場所。


それが家族なのだ。


そして五人は、眠る前にもう一度だけママに言った。


「ずっと一緒だよ」


ママも笑って答えた。


「うん。ずっと一緒」


――その夜、五人の寝息が揃った頃。


家の外では、座敷わらしの小さな光が、そっと屋根を包んでいた。


まるでこの家と家族を、


「これからも守るよ」


と約束するように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。