祭国から帰還
同期の子ども達はすくすくと育った。流行り病が心配だったが、母親達の栄養状態が良く、軍医達が尽力したせいか夭逝した子どもはいない。天気の良い時は軍艦から降りて私達は子ども達の遊び相手にもなる。私自身は子どもを生まなかったが、優しくすればするほど子ども達は懐いた。私は末子で甘やかされて育ったが、上官達から色々と教わって頑張ったせいか、私は子ども達に緊張しなくなった。首や腰の据わらない子達のおしめを取り替えたりあやしたり身体を洗ったりするのは苦労したが、老兵ばかりの上官達は慣れている上に適切に指示していた。同期達も授乳しながら懸命に育てている。
祭国の人達は不思議そうに私達を見ている。乳幼児の死亡率は私達の花国以外では高いのだ。五人に一人は亡くなる。もっと女を大事にすれば乳幼児も沢山育つと私は思っている。男達は筋力が有るのに家事も育児も女ばかりにやらせて更に女達の食事を少なめにするのだ。女達が更に生産活動をしても女達を評価しない。これでは乳幼児が流行り病や栄養不足で死ぬのは仕方がない。
また、花国は医学と薬学が盛んだし、花国の霧島から出る男を殺す毒霧は女達を丈夫にさせている。私達の軍艦に妊娠とその夫が来ては軍医に診察してもらったり、分娩をしてもらったりしている。私達も三年も滞在して食糧や物資を貰っているので、軍医達も私達も断らなかった。
祭国は寒冷だが、私達の軍艦にも暖房設備が有るので子ども達は無事だ。我班の同期の子どもは歩けるようになった。
上官達と私の様に子どもが授からなかった新兵達は母子と見張りを残して王の別荘前の広場に行った。祭国の軍が既に整列している。私達も並ぶ。
祭国の将校が合図をする。私達も祭国の軍も片膝を地面について頭を下げる。祭国の王が出て来て挨拶をする。三年も滞在したので祭国の言葉が少し分かる。私達の作戦が成功した事を労い、今後も戦争せずに和平を前提とした親睦を深める事を約束している。その次に王妃が共通語に訳した。それが済むと二人は別荘の奥に入った。将校が合図をする。私達は顔を上げて立ち上がる。
これから私達は軍艦に戻り、花国に帰還する。子ども達は歩けるようになっているので、しっかり見張って守っていれば航海に耐えられる。時化は怖いが母親である同期達が第一に子ども達を守る。私達も安全な航海を心掛ける。
祭国の軍人達が敬礼する。私達も敬礼する。悪漢もいたけれど、男達は意外と普通の人間だった。子どもを生み育てているのにか弱いはずの女達をもっと大事にしてもっと自由にさせれば申し分ない。




