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海繋がる  作者: 加藤無理
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同期の妊娠

 同期が適切な男を見つけて交際を始めると、見事に妊娠した。男は喜んだが同期も私達も事情を説明して別れの挨拶をした。男は声を出して泣いたが、班長と同期が私達花国の霧島では毒霧で男は三日も生きられないことを強調した。男は涙を流しながらも渋々承諾する。私達は軍艦に戻った。


 同期は軍医の診察を受けながら静養する。悪阻つわりが酷ければ胎児を傷つけない薬を飲む。針や灸も行われる。私達は同期の身の回りの世話をする。同期は本を読んで大人しくしている。班の上官一人が特につきっきりで同期を看護する。


 私は時々、班長ともう一人の上官と一緒に他の班と合流して適切な男を探す。艦内にいる時は同期の世話をするが、五日ごとにこちら祭国の王の別荘に行き、そこから探す。


 祭国は寒冷なので冬の今は寒い。厚手の手袋や靴を履いているが手足が痺れる。けれども建物の中に入ると暖かい。


 私の班と合流していた班の同期も無事に適切な男を見つけた。農村でひっそりと暮らしていた小作人だ。勤勉で温和だが階級が低くて貧しく、三十歳を過ぎても独身だ。彼の母親は既に亡くなっている。私達は彼の姉と交渉して許可を得ると彼本人と交渉した。彼も承諾して交際することになった。


 祭国に来てから一年ほど経ち、同期達が次々と妊娠する中、私は適切な男を見つけられなかった。たまに見かける悪漢を叱責し、危険が及ぶならば反撃し、祭国の軍に突き出す。私はそれを率先していたせいか男達は私を警戒していた。私も男達に魅力を感じなかった。


 一方、同期達は温和で優しい男を選んだ。その次に勤勉で謙虚な男が好かれた。美形でも貴族でも金持ちでも力持ちでも博識でも、女を見下す男は嫌われた。祭国の女達は妥協するが私達はこれから男に一切頼らずに子どもを生んで育てるので妥協しない。


 私は適切な男を探すのを諦めて同じ班の同期の世話に専念した。班長も上官達も残念そうにしたが、そうさせた。私達は三年滞在するが、一年以内に妊娠出来なければ出産して子どもの腰が据わる前に出国しなければならなくなる。航海中に出産するのは更に危険だ。だから私は諦めるのだ。


 妊娠出来た同期達は十五隻の艦隊のうち九割以上だったので、作戦は大成功だ。私は非難されるどころか慰められた。しかし身重な同期達を見ていると窮屈そうな生活をしている上に悪阻もある。薬の効果は有るようだが楽ではなさそうだ。私は悔しさを感じないし、むしろ安堵している。


 問題は出産だ。陣痛が始まってから分娩が終わるまで丸一日はかかる。私と上官達は軍医の指示されるままに手伝った。凪が続く時は軍艦の分娩室で、そうでないときは港の分娩小屋で出産させる。時折様子をうかがうと同期が涙を流しながら顔を歪ませている。出血もするので私は恐怖を覚えた。軍医が適切に麻酔をかけるが、痛みが完全にとれるわけではない。


 しかし同期が無事に出産を終えた。赤ん坊は泣いているが小さい。私達班員は同期と赤ん坊の世話を引き続き行う。

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