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海繋がる  作者: 加藤無理
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茶垣国の王

 イロ提督は私達六千人の中から百人を選んだ。他は帰りを待ちながら茶垣国の人達と時折交易に来る他国三カ国と交流を深めながら交渉をしていく。


 私達は武器を最小限度に抑えられた状態で出発した。男達百人が監視と護衛を兼ねて私達を連れて行く。一旦、山の中腹まで登り、頂上を迂回する様に山の裏に周る。山の裏は頂上付近から大河川が盤古大陸中心部まで流れている。その途中に茶垣国の首都が位置している。私達はまずはそちらを目指す。その後、船で河川を下って紅帝国の首都に向かう。河川の名前は西江。


 私は茶垣国には男しかいないのかもしれないと疑っていたが、よく観察すると遠くに女達が私達の様子をうかがっているのが分かる。農作業や家事をしながら、何度もこちらに振り向いている。宿泊所に泊まる時も私を含む女達の世話を女達が怖がりながらこなしている。私達は最初の戦闘でこちらの男達を沢山殺害している。女達は私達に憎悪や嫌悪よりも警戒や恐怖の表情を浮かべている。私達が月経の処理について確認すると困った顔で教える。こちらでは月経が終わるまで人気の無い小屋で大人しくしなければならないようだ。女達同士でも月経の話を避けようとする。


 私達は早めに歩いた。道は整備されているが霧が立ち込めれば遭難しないように晴れるまで待機する。私達海風列島の花国の女達は丈夫だが、まほろば帝国の女達はそれほどでもない。時折、まほろば帝国の男達や私達は彼女達に肩を貸す。仲間の男達はそれに気付いて案内する茶垣国の男達に遅く歩くように頼む。


 十日で到着した。大きな河川が流れている。西江だ。私達は茶垣国の男達に誘導されながら宮殿に入る。身だしなみを整えると大広間に案内される。私達は片膝を床に付けて頭を下げる。茶垣国の王はこちらまで来た事を労った後、戦闘についての謝罪を要求した。イロ提督は一瞬、躊躇ったが盤古大陸の言葉で亡くなった戦士達の哀悼の意を表した。続いて直接それを指揮した私も謝罪した。


 王の隣にいた臣下が合図する。私達は頭を上げて立ち上がる。王も臣下達も安堵の溜息を吐いている。イロは手前の席に座らされて二枚の紙に署名した。王も署名する。イロと王が一枚ずつ受け取る。正式な和睦だ。


 私達は三日ほど滞在し、礼儀作法を教わった。これから謁見する紅帝国の皇帝はこの盤古大陸の最高権威だ。茶垣国の王よりも格上だとされている。謁見の時、三回跪いて九回頭を床に付けなければならないのだ。屈辱的ではあるが、私達には人を殺めた負目がある。


 食事は豪華な料理が出された。私達は味わった。王は私達の航海術や政治形態や軍事について色々と質問した。私達はなるべく答えたが、軍事をはじめとする機密情報についてははぐらかした。


 翌朝、西江を下って茶垣国を出る。茶垣国の人々と別れる。既に紅帝国の首都までの案内人は既に来ているそうだ。

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