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海繋がる  作者: 加藤無理
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世界は丸い

 冬が終わり、春が来た。私達は黒髪の男達と話していくうちに、この世界が盤古大陸と呼ばれ、五つの国から構成されているのだと分かった。東西南北に四つの山と国が配置されており、中心部の盆地には文明の発達した帝国が存在している。帝国は四つの山から流れる大河川から運河を築き水田稲作を開発し文明を発展させていった。


 周辺部の四ヶ国からは塩と地下資源が採掘出来る。帝国にはそれらが無かったが、冶金技術が発達しており米を大量に供給できるので四ヶ国と帝国は七年に一度、大々的な貿易をするのだ。こちら盤古大陸ではそれを朝貢と呼ぶ。


 私達が現在いる国は盤古大陸の西側に位置する茶垣国。こちらは森林に恵まれてはいるが、国全体は乾燥地帯で頂上から半分は鉱山植物が少し生えているばかりだ。盤古大陸の中では医療先進国である。主食は麦。


 南側の国と北側の国は半年ほど前に私達と海戦した。私達が一度逃げようとした時に追撃しようとした十二隻だ。この二ケ国は定期的に他国と交易をする為に航行していたが、私達の艦隊を見つけたので反射的に攻撃したのだ。この二カ国にも私達の存在が知られている。時折、沖には船が往来している。攻撃を仕掛けてこないが私達の様子をうかがっている。


 まほろば帝国の西府の艦隊が西進して大陸から攻撃を受けた事を鞘は思い出し、過去に盤古大陸は私達以外にも外からの接触が有ったかと茶垣国の男達に質問した。すると男達は驚き、興奮気味に答えた。五年ほど前に不思議な艦隊が大陸東側の蓬莱国の沖に突如として出現した。蓬莱国が攻撃を仕掛けたら被害が出たようでその艦隊は逃げて行った。蓬莱国が国と世界を守ったと自慢気に語っていたのでそれが大陸全土に伝わっていた。


 私はみかんに傷を付けた。中央に私達の海風列島、西側に鞘のまほろば帝国、東側に盤古大陸。世界が巨大な球体ならば、まほろば帝国西府と盤古大陸蓬莱国は近い。私は皆に説明した。私達の艦隊の者達は歓声をあげる。訝しむ茶垣国の男達に説明すると彼等は驚き否定しようとした。彼等は世界が球体であると全く信じられない様子だ。


 ロイが一生懸命に天体観測をしてきた学者達の研究成果を説明し、球体の可能性を説いた。男達は奇妙な物を見る目で私達を睨む。


 しかし殺害したとはいえ、戦闘では私達が勝ったし、私達の学術や技術は茶垣国の男達もけなせない水準であることは明らかだ。浄水装置や砲弾や糞尿を堆肥にする便所を見て彼等は私達を認めてもいる。彼等が最初に放った弩も高性能な兵器だが、私達の技術もそれに劣らない。


 むしろ男達は女の地位が比較的高い私達を気味悪がるのを止めて興味を持ち始めている。特に私が女であると同時に艦長を務めているのが不思議なようだ。


 そんな中、茶垣国の王は私達を盤古大陸中心部に位置する紅帝国に行かせようと決めた。紅帝国は地理的にも政治的にも大陸の中心だ。帝国を統べる皇帝は大陸の中での最高権威である。その皇帝に私達を謁見させるのだ。

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