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海繋がる  作者: 加藤無理
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接触

 こちらの世界の人達が私達を囲んだ。私達は今、千人ほどいるが、向こうは前後左右に千人ずついるようだ。更に奥の森林や岩陰からも人の気配がする。全員、黒髪の男達である。


 奥からいかにも威厳の有りそうな屈強な男が複数の男達に護衛されながら出て来た。男が険しい顔で大声で何かを言った。まほろば帝国の言葉でもないし私達海風列島の言葉でもない。しかし。何しに来たのか。そう言っているのだと分かる。イロは海風列島の共通語で一生懸命に弁護した。冒険の為であって元々略奪や侵略に興味はない。一隻を偵察の為にそちらに向けたが、そちらが殲滅するとは思わなかった。侵略や略奪が自分達の目的ならばそんな事をせずに一斉攻撃を仕掛けたし、一度離脱することはなかった。


 黒髪の男達は自分達と私達の言語が全く違う事を知って困った顔をした。時々、私達の頭を見て髪の色が違うので異世界の人間だとも分かっている。


 まほろば帝国の鞘が身振り手振りで言語を教え合う事を提案した。黒髪の男達は驚いた顔をしている。私達の中に少なくない女達がいる事が意外なのだろう。鞘は一生懸命に提案する。イロも海の方や自分達を指差ししながら自己紹介を試みる。


 代表者らしい男は周りを見渡し、何か言う。男達は少し納得した様子だ。彼等は手招きして私達を移動させる。仮設住居はその場に生えていた草木で造っていたのでそのままにして、私達は荷物を急いで回収した。


 男達は私達が壊した要塞に連れて行った。身振り手振りでそこにある食糧や道具を使用しながらそこで滞在するように命じた。私達は言う通りにした。男達は戦死した男達の埋葬地に手を合わせて黙祷する。屈強な男達が文字を刻んだ石碑をそこに置く。他の男達は要塞の修繕を始める。


 私達は暫く要塞に滞在することになる。何人かが監視する男達に同行されながら砂浜で待機している仲間に様子を伝える。男達はその仲間達にも会話を試みる。食糧等の物資も送る。


 心の読めるまほろば帝国の女達は頑張った。一生懸命にこちらの世界の男達に質問して答えさせて回答を探る。男達は女達に言語のわからないまま根掘り葉掘り訊かれて時々嫌な顔をする。海風列島の私達は一生懸命に身振り手振りをしたり紙に絵を描き文字を書き伝えようとする。まほろば帝国の男達はイライラする女達を紳士的に宥めた。月経になると女達は船に戻って処理をする。こちらの世界の男達は月経に配慮するどころか気味悪がる。


 冬が来て三ヶ月ほど経った。ようやくまほろば帝国の女達はこの世界の言語を習得し始め、私達に教えていく。暦の表現や単位だけではなく語彙も文法も独特だ。私達はそれを参考にこの世界の男達と喋りながら学んでいく。


 男達は時折、私達に困った顔をする。私達が最初に彼等の仲間を殺戮しただけではなく、私をはじめとして女達が何人もいる事が原因のようだ。女が不特定多数の前で姿を現し発言し戦い批判する。私の母国花国以外の海風列島の社会でも男尊女卑の傾向は有るが、この世界は更にその傾向が強いようだ。同じ艦隊・軍艦に男女が乗って性的な問題が起きなかったのが不思議なようだ。


 私達はまほろば帝国と海風列島の文化や歴史や政治形態を説明していく。こちらの世界の男達は更に驚く。私達は食事・便所・入浴以外は自分達について語り合った。


 私達に侵略や略奪の意図が無いと分かるとやっと和解できた。私達は再度、戦死した男達の埋葬地に黙祷を捧げる。

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