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海繋がる  作者: 加藤無理
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間違えた殺戮

 また砂浜に戻ったものの、どうすれば良いのか私達には分からなかった。まずは人の気配がしなかったので私達は再上陸をすると武装したまま砂浜の埋葬地に黙祷を捧げる。


 突然この地へ来て人を百人以上も殺戮してしまった。私達は侵略も略奪もするつもりはなく、反撃しただけだが客観的に見れば私達が悪い。どんなに冒険と交渉を目的にしていると訴えても信用されないし、言語も通じないはずだ。心の読めるまほろば帝国の女達が何人もいるが、こちらの意思や弁明を伝える術はない。黙祷を捧げてもこの世界の人達は謝罪の意図は分からないだろうし、分かっても納得いかないだろう。


 翌早朝。私達は見張りを残して山に向かう。その途中で先日イロが見つけた私達の軍艦が壊した要塞と埋葬地が有る。そこでも私達は黙祷する。食糧らしき物を見つけたが私達は手を付けずに自分達の食糧を運んで更に登る。


 山はなだらかで道も整備されている。道の両側には塩田らしき空間が暫く続いていたが、進むにつれて森林が広がっていく。時折脇道が有り、遠くを眺めると田畑らしき空間と建物が見える。しかし人の気配は無い。私達を警戒して隠れているのかも逃げているのかもしれない。


 川を見つけた。河原は岩石が転がっているが広い。私達は川から少し離れた高い所に野営した。仮設住居を建てる。そのすぐ後に雨が降った。嵐ではなかったので洪水は起きなかった。


 私達は五日ほど滞在した。霧や小雨が降ったが、川の著しい増水はなかった。食糧の節約の為に川魚を釣ったり、食べられそうな木の実を採取したりした。獣が何頭か見かけたので矢で射殺して解体し焼いて食べる。山菜を見つけるとアク抜きしてそれも食べる。


 この世界には人がいるはずなのに誰も襲って来ないのが不気味だ。イロ提督は翌朝には戻ろうと決めた。絵の上手い仲間達が植物や魚や獣や建物や道路を書き溜めている。これは冒険の収穫だ。


 昼過ぎに私達が休んでいると大人数の足音がした。上からも下からも横からも沢山の人間の気配がする。囲まれたようだ。万事休す。こちらが反撃して被害を与えたとしても全滅だ。私は死にたくなかったが、殺戮を指揮した責任は有るし、捕まって嬲られるよりはここで戦死した方が良いと思った。


 しかしまほろば帝国の女達は落ち着いて臨戦態勢をしないように命じた。心が読める彼女達は向かってくるこちらの世界の人々に害意が無いと感じているようだ。私達は武器を持ったが構えなかった。

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