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海繋がる  作者: 加藤無理
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再出発

 私はうぶすな帝国の人達を見送った後、更にシドと別れた。六年間も一緒にいたが、恋仲にはならなかった。シドは私を高く評価して体調や心労を気遣ったが、妻のサリを忘れることはなかったし、度度たびたびサリと息子の身を案じていた。私はシドは実に誠実だと思う。


 別れ際にシドは笑顔で、

「無茶をしないでくれ」

 と、慮った。私も、

「ありがとうございます」

 と、礼を言った。シドと再会して安堵するサリの顔が目に浮かぶ。シドが船に乗る。私も母国花国に向かう船に向かう。


 約八年振りの母国。男達に慣れたせいか女しかいない花国が不思議でもあり懐かしくもある。故郷は約十年振りだ。皆、私に気付くと作業を止めて駆け寄って来た。私は自分の顔が綻ぶのが分かった。皆で私の家に行く。容姿の変化は有るが私の姉達も姪達も伯母・叔母もいとこ達も元気なようだ。


 母は食事を用意していた。白髪も皺も増えて老いている。私は不安になったが、母が驚きつつも笑顔で迎えたので私達は抱擁した。


 姉達は私から荷物を取り上げて部屋に置き、私を椅子に座らせ休ませた。私がまほろば帝国に行った事は皆知っている。姪達が興味津々と質問してきた。私は答えていく。


 私は三ヶ月ほど休んだ。時折、思い出した様に農作業を手伝う。夕食の時には姪達が姉達の家から来ては私に土産話をせがむ。姪達は作物を持ち込んで料理をして私と母に振る舞う。母の跡を継いでいるのは一番下の姉だ。母は農作業をしなくなり、代わりに家事をこなしている。姉が農作業をしている。


 姪達はだいぶ成長したが、この十年の間に更に五人増えた。特に子どもがいなかった五番目の姉は二人子どもを生んでいた。幼い姪達は不思議そうに私を見つめている。


 姉と母を手伝いながら暮らすのも良いが私は軍に戻ろうと考えている。その事を皆に伝えると呆れ気味だが誰も私を引き留めなかった。


 皆に見送られながら私は港に向かう。妊娠希望者を護衛したり領海を警備したりする任務に戻りそうだ。今までの経験を活かせば老兵にも屈強な兵士にも負けないだろう。


 今、二つの世界が繋がっている。私はそれに関われて心底良かったと思うが、他にも何かやれそうな気がした。前回は画期的な航海だったが、世界の形はまだ分からない。もしかすると私が死ぬ前に分かるかもしれない。

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