表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海繋がる  作者: 加藤無理
24/41

交易の予感

 翌日。私達は城から少し離れた所に案内された。簡素だが十分に天露がしのげる大きな宿泊所だ。そこに入って待機していると私達の仲間もこちらの世界の男達に連れられて来た。


 私達は二十隻の艦隊五千人だ。一カ所に集まるとその地域の負担が大きいので、一隻ごと十カ所に分けて滞在することになった。私達の半数が陸地にいて、もう半数は船上で見張る。半月ごとに私達は交代する。弓が説明した。


 弓を含めたこちらの世界の人達の采配が絶妙なのか海上で待機していたバル提督と他の仲間達も問題を起こさずに素直に従ったようだ。


 私達は朝から晩まで毎日こちらの世界の人達と互いの文化や歴史や技術や産業について語り合った。女達は率先して質問して書き取り、男達は物資を運んだり女達の護衛をしたりしている。私達の集団はシド以外全員が女性なので気を遣っているのもあるが、元々こちらの世界の人達は女の地位が高い。私達の母国の花国では女しかいない事を知り、こちらの世界の人達は興味津々に私達の歴史や文化を尋ねた。シドも母国の笑国について一生懸命に語る。こちらの世界の人達は不思議そうに聴いている。男が威張る世界はこちらでは奇妙に感じられるようだ。


 こちらの世界は巨大な菱形をしているうぶすな大陸で形成されている。中心には富嶽と呼ばれる巨大な霊山が聳えている。確かに沿岸部に位置するこちらからでも山陰が見える時がある。その頂上にこの世界を統治する帝が鎮座している。帝は何故か代々男が父から息子へと担っている。


 うぶすな大陸はまほろば帝国とも呼ばれている。まほろば帝国は四つに分かれており、府という行政区画になっている。府を統治しているのは御台所で、女系女子が担っている。こちらは東府の松本氏が統治している。


 まほろば帝国の人達と話しているうちに私達はうぶすな大陸には地下資源が豊富であることに気付いた。特に様々な金属が採掘される。富嶽は活火山で数年から数十年おきに噴火するがその分、金属も噴き出すのだ。帝の住む富嶽とその麓は京になっており、農業以上に冶金が盛んだ。職人達や鉱夫が多い。男達が金属を採取・加工している。そのせいか帝が男系男子な上にまほろば帝国では例外的に女の地位は低めだ。しかし、神通力の有る女が鉱石を探し当てたり、火を操って加工したりすることもあるので、女を蔑ろにし過ぎると男は厳しく処罰される。


 女達の神通力と計画的な植林と慎重な採掘により、森林が燃料で伐採され尽くすことはなかった。まほろば帝国は千年ほど続いている。


 私達は驚嘆した。私達の世界にも鉱山は有るが、森林伐採で砂漠化しそうになって滅んだ国が昔ある。今では閉山した鉱山もある。


 逆にまほろば帝国の人々は私達の世界で火薬の原料が豊富に有る事に驚いている。砲弾や銃に使われ圧倒的な武力を誇る上に肥料にもなる。戦争に興味を持たないまほろば帝国の人々は肥料としての使い道に興味を持っている。


 私達は金属と火薬による交易を思いついた。バル提督もシドも、弓も大棟梁も御台所も賛成した。そこで弓と大棟梁の詩郎は私達のうち数十人を帝に謁見させて交渉しようと提案した。既に帝に何度も書簡を送っているし、帝からの使者も私達を観察して帝に報告している。


 私達がうぶすな大陸に来てから半年以上が経ち、冬になった。私達はこちらの岬と富嶽を繋げる川を遡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ