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海繋がる  作者: 加藤無理
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城内

 城は緻密に組まれた大小の岩石を土台にしており、その上に木造建築が乗っている。屋根は丈夫な陶器出できた板を綺麗に並べている。弓が説明した。瓦だ。土と岩で出来た私達の世界の建物とは違う。私達は中に入った。


 門は前後に開く普通の大きな木造の扉だが、建物の扉は左右に動かしている。扉の板を床の溝と上部の溝に入れているので、扉は倒れずに簡単に動くのだ。私達は広い玄関で立ち止まり、靴を脱がされ弓に携帯するように命じられた。私達は整列しながら言う通りにする。


 廊下の脇は左右に動く扉ばかりだ。こちらは木造ばかりではなく漆を塗った布を張ったり格子状の木枠に厚手の紙を張ったりしている。障子と襖だ。私達は奥へ奥へと案内され、大きな広間に着いた。襖が開く前に私達は片膝を床に着いて頭を下げる様に命じられた。私達は言われた通りにする。扉が開く。


 凛とした女の声。弓が私達に顔を上げて中に入るように命じる。私達はその通りにする。奥にはぼんやりとした人影が見える。竹の薄い板と紐で作られた仕切りだ。弓が説明する。御簾だ。御簾の奥に座っているのは弓の姉の御台所だ。


 弓は私達に胡座をかかせた。本来ならば正座を望むが、異世界の人間に長い時間そうさせるのは忍びないと御台所は判断したそうだ。


 御台所は弓と私達を交互に見やり何か喋った。弓が通訳する。御台所は私達を歓迎している。私達の世界や文化に興味を持っているので、暫く私達は滞在して教えて欲しいのだ。宿泊所も造ったし、水と食糧と衣類も与える。引き続き、心の読める女達と会話をする。彼女達は知った事をまとめてこの世界を統治している帝に伝える。今後も私達とこの世界の人達が交流するかどうかは帝が判断する。


 御台所はシドとミヤに色々と質問する。弓が通訳する。二人はそれに答える。壁際で座っている女達が私達を観察して心を読む。出入口には男達が待機している。


 私達の世界を誰が支配しているのか。その支配者にはどんな能力が有るのか。私達に階級は有るのか。どんな産業が有るのか。どんな生活をしているのか。何を娯楽としているのか。何を教養としているのか。どんな歴史を歩んできたのか。御台所は質問していく。


 シドは困惑しつつも答えていく。こちらの世界では何が常識なのか分からない。神通力の存在は私達にとっては架空の物語に登場するが、実在はしない。弓をはじめとする女達と会話が出来ても自分達の世界を伝える事は難しい。御台所もそれが分かっているのか、少しずつ質問を変えていく。


 日が沈む。私は直接喋らなかったが疲れた。受け答えしていたシドもミヤもヘトヘトだ。御台所の命令で男達は一旦引き下がり、膳を出した。宴だ。


 見かけない魚料理と独特な香りと味のする香辛料と薬草で調理された煮物と炒め物と蒸し料理。非常に美味い。塩みや甘みや辛みが効いた料理もあれば、薄味なのに風味が有る料理もある。


 私達が食を楽しむ間も女達は茶や酒を出しながら質問してくる。私達はなるべく素直に答える。


 こちらの世界の人達は私達の浄水装置に驚嘆している。鯨の肺を乾燥して加工した物で塩分やニガリを濾過したり、汲み取った海水を日光に当ててガラス皿に水分を掴ませてそれを採取させたりする技術だ。船内の便所も糞尿を凝縮させて糠や枯葉や専用の薬品を混ぜて堆肥にする仕組みになっている事も珍しがった。また、火薬で鉄球を飛ばす砲弾の存在にも驚いている。


 こちらの世界ではあまり航海をしない。大陸の周りを往来し、途中の港に寄って休見ながら目的地に到着する。戦争は滅多に起きない。戦うとすれば陸上で弓矢や刀剣で戦う。


 宴の後、私達は城内で一泊した。

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