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海繋がる  作者: 加藤無理
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初めての航海

 春。私は母や祖母や伯母・叔母や姉達やいとこ達に見送られながら港に来た。大きな船が何隻も停泊している。桟橋には私と同じ十八歳ぐらいの人達が並んでいる。兵士達が証明書の代わりになる札を見せている皆を一人一人確かめながら乗せていく。


 私は腹が重くなるのを感じた。生まれて初めて国を出る。しかも男という生き物と交渉して性行為をして子どもを産むのだ。国や軍から期待されるが、男から拒まれたり気に入った男がいなければ仕方がないとされている。学舎で男達の絵を何度も見たことがあるが、現実の男はどんな生き物なのか分からない。私達よりも背が大きく声が低く体格が良いそうだ。


 更には外国に行くので乗船すれば会話も文章も共通語を使用しなければならない。学舎で習ったが、自信はない。私達は共通語で訓練を受けながら航海する。予定通りならば半月後には私達の国である花国から北に位置する雪島の祭国に到着する。


 兵士達に札を見せるとアッサリと通されて階段に登れた。甲板には私の同期達が何十人も待機している。兵士達は出航の準備で忙しい。皆、除隊前の五十過ぎの老兵だ。体力が衰えているはずだが力強く機敏に動く。私達は彼女達から航海や護身術や祭国についての知識を教わる。また、彼女達は私達を護衛したり男との交渉も手助けする。


 全員が揃うと皆、整列して艦長の挨拶を聴く。その後、五人ずつの班に分かれて荷物を置くと自己紹介し合う。それが済んだ頃、出航の合図の鐘が鳴る。班長とその部下二人と私と私の同期。班長達は具体的に指示を出していく。私と同期は何をやらされているのか分からないまま言われた通りにする。様々な綱や鎖を持って運んで引っ張る。掌が痛くなったが頑張った。


 帆船十五隻の艦隊が北に向かう。掛声と鳥の鳴き声が響く。風が吹いて帆が張る。二百人も乗れる大きな軍艦だが波で揺れる。私は転ばなかったし船酔いしもなかったが、不思議な気持ちになった。


 船は夜間も進む。月明かりで周りを見張りながら星の位置で位置を確認する。夜に仕事すれば昼間に仮眠をとる。総員を三つに分けて交代させている。一組目が仕事をしている間に二組目は休んで三組目は護身術や座学に励んでいる。


 時化の時は総員で漂流しないように船にしがみつく思いで船を守る。雨や海水が上からも横からも下からも後ろからも襲ってくる。風の轟音が耳の奥を通り越して骨の髄まで響く。恐怖で逆に酔わなかった。


 波も穏やかで風もない晴れ間の凪の時は櫂を動かして進む。艦長や兵士達の熟練の判断で海流に乗れた。


 苦労と恐怖が続くが私達は励まし合った。

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