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海繋がる  作者: 加藤無理
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冒険の準備

 私とシドは笑国の軍艦で舵国に行った。舵国は私の母国花国の西側、シドの母国笑国の北西に位置している。


 私達は宮殿に行って国王と貴族に謁見した。貴族達は不安そうな面持ちだったが、国王の呼びかけでシドの冒険に協力することで一致していた。戦略を練って対策や計画を建てていく。


 私達は宮殿近くの宿泊所に滞在することになった。そこから宮殿を往復して貴族達と国王と侃々諤々とした議論を展開して具体的に方法を決めていく。学者を兼ねた貴族だけではなく、巨匠達を招聘しょうへいして最新技術を取り入れていく。舵国は工芸が盛んな国だ。丈夫な船も高性能な浄水装置も協力な武器も造れる。機能性のある衣類や栄養価の高い保存食も用意出来る。


 舵国国王は自国の中将から一人指名して今回の冒険の艦隊を編成させた。責任者はバル提督だ。バルはシドを副官にしてシドの考えを参考にしつつ采配する。


 バルは自国の他に外国四ヶ国に対して軍艦四隻と精鋭の軍人達を要請した。二十隻の艦隊を編成するのだ。一国四隻の責任者は少将が担当し、一隻の艦長は大佐が担当する。バルは各国の名将達に書簡を送った。名将達も真剣に精鋭を選んだ。


 舵国には世界各国から五千人ほどの軍人が集まった。バルの指揮の元、私達は準備を進めていく。私はバルとシドの報告をまとめては皆に伝え、皆からの報告をまとめては二人に報告した。忙しかったが、学ぶ事が多かった。母国花国の同胞達とも会えた。新しい艦隊の構成員は除隊前の五十代の老兵が大半を占めた。危険で未知の世界に行くのだから経験豊かな者が適任であったし、若者の生命を無駄にするわけにはいかなかったからだ。


 準備や計画の他に演習もした。各国の文化や軍規は違っており、最初は統一性が無かったが、バルとシドの工夫と将兵達の奮闘で練度は上がっていった。


 舵国に来てから二年が経った。二十七歳になった私はシドを補佐する為に中尉に昇格していた。シドはバル提督の旗艦でも母国笑国の軍艦でもなく、私達花国の軍艦に乗艦して指揮をることになった。男であるシドが女ばかりの花国の軍艦に乗艦するので最初は皆驚いたが、バルは花国の練度を評価していた。それに花国は早い段階でシドの冒険を支持していたし、笑国はシドの母国だが冒険を支持するのが遅かった。指揮官のバルと同じ船に乗ると万一、沈没した時に統制がとれなくなる。


 正直、私は嬉しかった。今回の笑国の人達に悪漢はいなかったが、私は過去に笑国本土で下品な男を何度も見かけた。また、同胞と同じ船に乗るのは私としては安心する。シドも私達が愚かな性行為も恋慕もしない事を妻のサリから聴いているので警戒していない様子だ。むしろ花国の練度を母国笑国以上に評価している。


 春の凪の日に私達は舵国から出航した。

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