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海繋がる  作者: 加藤無理
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嫉妬の違い

 私達の花国の霧島では人間の男を三日以内に殺す見えない毒霧が絶え間なく出ているので、花国には男がいない。私達は外国に行って適切な男を探して交渉して子孫を残し、帰らなければならない。


 そこまでサリは理解している。しかし、私達は全く男に尽くさない。結婚という文化も私達は勉強や観察でなんとか理解する。物心付く前から女は結婚して男に尽くさなければならないと教育されてきたサリにとって、私達は奇妙に見えるようだ。


 適切な男を探して数ヶ月ほど交際して妊娠したら疎遠になる。未練はない。特に花国の女達は子どもばかりを気にして男を遠ざける。男達は逢瀬を重ねようとするが、私達は男を殺す毒霧について説明する。男達の中には宝石や貴金属で出来た飾りを贈って別れる。花国の女達はそれを生まれた子どもに渡す。


 女を遊び半分で抱いて妊娠させても子育てどころか母体すら全く配慮しない無責任で下劣な男は沢山いる。花国の女達はそんな男を遠ざける。ヘラヘラ笑いながらカネを出して抱こうとする男をも嫌う。遊郭でもない。


 性行為をして子どもが出来たのに最初から結婚しようとしない、そもそも結婚という文化すら無い。夫以外と性行為をしたり恋慕したりする浮気や不倫を話題にしても何も感情が動かない。性行為を娯楽にしているわけでもないし淫らでもない。


 そんな花国の私達がサリは不思議で仕方ないのだ。適切な男を見つけた私の同僚がその男に妻がいると分かると、その妻に許可を求めるのだ。拒まれると諦めるが認められると性行為に臨む。その交渉を見聞きしてサリは青白い顔で呆然としていた。私達から花国の文化や戦略を聴いていたが、目の当たりにすると驚愕せざるを得ないようだ。適切な男の妻が悩みながらも承諾すると更にサリは開いた口を両手で塞いだ。


 サリにとっては衝撃的なようだ。私達が国と生存をかけた交渉を大真面目にしていると理解していのでサリは私達を責めないが、感情の整理がつかないようだ。


 サリは目を大きくさせて、

「貴方達には嫉妬が理解出来ないの?」

 尋ねる。私達も依怙贔屓を嫌うし、目の前で他人が仕事や家事や能力や人格を誉められて自分は全く評価されなければ嫌な気持ちになる。しかし、サリにとっては夫や恋人が他の女と仲が良くなったり更に性行為をしたら身を斬られる程の苦痛を伴うようだ。


 サリが苦しそうにしているので私も辛くなったが、それでもサリの感じる嫉妬がよく分からなかった。男は身近な女や自分に尽くす女に感謝して大事にすれば良い。私達花国の女を抱くのはあくまでも一時いっときだし、そこで出来た子どもに責任持つのは私達だし、私達は女から男を奪うつもりは全然ない。むしろ事が済めば女に尽くすように男を諭してから返している。


 こちら扇国では商人達の采配が上手いせいか悪漢は少ない。宿泊所の居心地も良い。しかし、サリの顔色が良くない。

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