表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海繋がる  作者: 加藤無理
15/41

順調な物流

 花国に戻ってから約一年。既に二十四歳になった私達の艦隊は冬に東方に位置する扇国に向かった。寒いけれど祭国よりは耐えられる。サリは艦長室の隣の個室で寝泊まりすることになった。軍曹から曹長になった私は同僚五人と一緒の部屋になった。私はサリの護衛と世話をするので同僚よりもサリと行動を共にすることが多かった。


 サリも夜に見張りを手伝ったり、時化が起きても皆と一緒に船を守ったりした。貴族として思慮深く振る舞うが机上の空論で満足しない。サリは母国笑国から私達の花国に来て更に扇国に行く。不安と寂しさで時折辛そうな顔をするが、愚痴も文句も言わない。むしろ女だけで航海する私達が不思議で仕方ないようだ。花国で一年滞在したとはいえ、今回は妊娠を希望する者達が四割ほど乗船している。これから扇国で子どもを産んで更に船に乗せて連れ帰るのだ。私達はそうしないと国が維持できないし当たり前なのだが、男が女と同じくらいにいる笑国で生きてきたサリには奇妙に見えるようだ。


 今回はサリの夫のシドの研究成果を証明する航海でもある。サリは日誌を丁寧に書いて検証しながら出来る限りの事をしたが、私達は無茶をさせないようにした。サリは貴族だし、私達は元々女としては丈夫で鍛えている。同じ事をさせたらサリが耐えられなくなるだろう。


 改修された軍艦の乗り心地は良く、時化にも十分に耐えられている。新しい浄水装置も順調に稼働している。海藻も魚介類も収穫出来て食糧を節約出来た。新しい航路と航海方法で予定より三日ほど早く到着した。シドの研究成果が実証されたのだ。私達は喜んだ。サリは航海を無事に成功できて安堵の溜息を吐いている。


 私達が軍艦を港に順調に停泊すると、扇国の軍が隊列を組んで行進してきた。整列して私達を迎える。私達も降りると整列して敬礼した。隊長を務める大将が共通語で挨拶をする。


 扇国では商人達が私達を受け入れることになっている。普段の物資の購入や宿泊等は商人達と交渉する。商人達は物資と宿泊施設の提供の他に適切な男を紹介もする。私の同僚達の希望を参考に男を探して連れてくるのだ。私達は費用を出すだけではなく商品の運搬も手伝う。また、軍医達が扇国の妊婦達を診察したり分娩させたりする。医療施設も商人達が提供する。


 私達と商人達の間で問題が起きたり交渉が失敗すれば軍を呼んで処断させる。条約や法律違反した者は私達でも商人達も罰せられる。


 大将は説明を終えると商人達を紹介した。商人達が恭しく頭を下げると軍はまた隊列を組んで引き上げて行った。商人達は宿泊所に私達を案内した。


 男も女もいたが商人達は男の方が多かった。しかし露骨に私達女を見下す様な態度をとる悪漢はいない。特に貴族であるサリに気付くと驚きながらも慇懃に対応した。


 商人達は裕福な者が多くて服装も機能的だが洒落ている。気さくでハッキリとした喋り方をする。しかし軍や貴族に対して卑屈になっている様子だ。直接作物を生産しない庶民として冷遇されて税も高めに取られている。それに不満は有るものの、土地に縛られずに自分の才覚で財を成せるので、気楽でもある。


 祭国は農村が有るが漁業と捕鯨が盛んで笑国は農業が盛ん。遥か西方に位置する舵国は工芸が盛ん。扇国は商業が盛んで国内外の作物や商品を取引する。扇国の商人達によってこの世界は流通が成り立っていると言っても過言ではない。


 私達は宿泊所に到着すると荷物を解いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ