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吸血鬼とメイド アルト過去編2

2人は屋敷に戻りリークはすぐさまアルトに衣服を与えた。


「君は今僕の血で喉の渇きを抑えているが時期にまた喉が渇きだす」


リークはそういうと窓の外を眺める。皆既月食は終わり丸々とした美しい月が雲一つない空で輝いている。


「あいにく今日は満月で外は明るいから普段は狩りをしないが幸い今日は皆既月食だ。ほとんどの人間は家に籠ってるから狩りをしているところは見られないだろうな」



 皆既月食は人間の間では不吉の象徴とされているため家に籠る人がほとんどなのだ。そのため狩りに適している状況なのだ。しかし、そもそも人間が出歩かなければ狩りも何もない。

だが、リークは狩の宛があるのかアルトを外へ連れ出した。


2人は屋敷を出て街へ降りていく。


人気のない路地を静かに歩いているとリークは足を止める。

リークは声を出さず静かに指さした。指さした方向には若い少女がいた。17歳くらいだろうか。くせっけのある赤髪をおさげにし、鼻には可愛らしいそばかすをちりばめていた。服装は一般庶民が着るようなロングワンピースを着ていた。


「人気のいない夜にはなああやって逢引きをする恋人たちが出てくるんだ」


貴族ほどではないにしろ庶民の中でも比較的裕福な家庭では結婚相手を親に決められていることも少なくはない。そのためこのように隠れて本命の恋人と会うことが多いのだ。


「君はここで待っててすぐ終わらせてくるから」


リークは女性の背後を取り口をふさぐ。女性は抵抗しようとするがリークがすかさず首元に噛みつくと糸の切れた人形のようにカクリと動かなくなる。


アルトは女性のもとへ様子を見に行くと静かに眠っていた。


「僕ら吸血鬼はね、狩りをするために様々な能力を持っているんだ。一つはこうやって獲物を眠らせることができる」


リークは女性を軽々と抱きかかえると2人は屋敷へと帰った。


2人は屋敷につくとリークはランプに火をつけ地下へ降りていく。

暗闇の中リークの持つランプの火を頼りに着々と降りていく。

階段を下りきると目の前には木製の扉があった。扉の隙間から生臭い血の匂いが漂ってくる。


扉を開けると石の壁で囲まれた地下牢だった。つい先日まで誰かがいたような生活感が漂っている。

リークはシーツが敷いてあるベットに女性を横たわらせる。


「ここはね捕まえてきた人間を保存する場所であり僕の食事スペースだよ。人間の血はおいしいけど自分の部屋は汚したくはないからね」


リークが話していると女性のおびえる声がした。


「こ、ここはどこ。あなたたち誰!!」


眠らせていた女性が目を覚ましたのだ。

おびえる女性にリークは優しく話しかける。


「おびえなくても大丈夫だよ」


リークの美しい見た目に女性は目を奪われる。

リークはおびえる女性にゆっくりと近づいて行く。


リークの不思議な雰囲気に女性は少し警戒を緩める。そしてゆっくりと近づき女性の首元に軽く噛みつく。しかし、女性は痛がるそぶりを見せず、それどころかもっととせがむようにリークの首に腕を絡みつける。


リークは女性をベットに押し倒し女性の唇を優しく啄むようにキスをした。

女性も懇願するかのようにリークの唇を啄む。

女性の妖艶な吐息が狭い地下牢に響き渡る。


アルトはリークが手招きをするのでそのまま近づき女性の目を見ると先ほどまで恐怖の色で染め上げられていた瞳が愛しい人に愛され幸せを感じ快楽に溺れていた。


「これも吸血鬼の能力の一つさ。噛みついた相手に強い快楽を与えるんだ。強力な媚薬のような物かな」


リークは女性の腕を差し出してくる。

しかしアルトは血を飲もうとせず頭を横に振る。


「我慢しなくていい。僕の血を飲んだところでその場しのぎにしかならないからな。君の体は人間の血を欲しているはずだ」


リークは女性の手首に切り傷を入れる。手首からしたたり落ちてくる血を見ると急に激しい喉の渇きがアルトを襲った。体が急に重くなり呼吸が荒くなる。アルトの中の吸血鬼の本能が血を激しく求めている。リークの血と比べようがないほど人間の血はかぐわしい香りがした。全身がその血を欲している。アルトは滴り落ちる血の欲求にあらがえず勢いよくかぶりつく。


リークはかぶりつくアルトを見て己の欲求も満たされたのか笑みを浮かべた。


激しく乾いたのどを血が潤していく。甘美な血がアルトの吸血鬼の本能がもっともっとと求め貪り食う。


アルトは血を体内に流し込むたびに喉の渇きが癒えていく。喉はとっくに潤っているはずなのにアルトは血を飲むのをやめない。初めて味合う甘美な血で食欲を止めることはできなかった。


アルトが血を吸うにしたがい命を吸われているかのよつに女性の体は次第に冷えていく。


喉の渇きが完全に言えた頃には女性の息は耐えていた。しかし、女性の表情は幸せそうに微笑んでいた。


「喉の渇きは癒えたか?」


アルトはその問いに答えずただただ目の前で静かに眠る女性を眺めていた。


「気に病む必要はない。人間たちが生きるために家畜を食べるのと同じだ。この女性は幸せを感じながら死を迎えた。こんな生きずらい世の中で苦しみを感じず死んでいけるなんてとても幸福なことなんだよ。僕たちは生きるために人間から血を貰う。その代わり人間たちには最高の死を与える。こんなに素晴らしい関係はないよね」


リークはそう言って満面の笑みを浮かべる。

この清寂した夜空の下、新たな吸血鬼が誕生した瞬間であった。


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