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妖精姫は赤獅子将軍に嫁ぎたい  作者: 一理。


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13/19

赤獅子将軍は妖精姫にプロポーズする


 テラスで待っていたレオナルドはアーシャが来ると席にエスコートしてくれる。

 最初のうちはぎこちなかったエスコートもずいぶん慣れてきたようだった。


 しかし今日のレオナルドはどこか上の空で、サンドイッチにサラダのドレッシングをかけたりジュースのグラスを倒したり落ち着きがなかった。

 何とか昼食を終えた後レオナルドはアーシャをじっと見つめた。

 ほかの者が見れば恐怖に失神しそうな眼力だったが、見つめられてアーシャはポッと顔を赤らめた。


「あー、アーシャ、その、まだ先のことなんだが建国祭が終わったら一旦公爵家に戻らないか?」


 レオナルドの言葉を聞いてみるみるうちにアーシャの瞳に涙が盛り上がってきた。

 アーシャの涙を見てレオナルドはハッと気づいた。


「あっ。いや、違う。順番を間違えた」


 クロイスに合図し急ぎ例の物を持ってこさせる。

 クロイスが持ってくると例の物——バラの花束をアーシャに差し出し、跪いた。


「アーシュア・グレンワース嬢、俺と結婚して欲しい」


「はい!もちろん喜んで!」


 アーシャは即答したものの首をかしげている。レオナルドが彼の言葉でプロポーズしてくれたことは滅茶苦茶嬉しいが最初の公爵邸に帰れという話に結びついてこない。


「あー、結婚式は半年後を予定している……んだけど」


 今度こそ吃驚した。婚約は結んだものの婚姻はまだ先だろうと思っていたからだ。

 あの父がすんなり結婚させてくれる筈がない。


「今日やっと公爵から了承の返事がもらえたんだ。それで花嫁支度もあるから建国祭が終わったら一旦公爵邸に戻るようにと……」


 アーシャはレオナルドに飛びついた。

 慌ててレオナルドはアーシャを支える。

 アーシャの腕は大きなレオナルドの背中まで届かなかったが広い胸に顔をうずめた。


 そのまましばらくプルプルと震えていたが震えが治まるとレオナルドを見上げて言った。


「私、レオ様のお嫁さんになるんですね。嬉しい……よろしくお願いします」


 レオナルドは自分の胸に引っ付いているアーシャを抱き上げ自分の目の高さまで持ち上げた。

 アーシャと目と目を合わせて言った。


「俺は顔は厳ついし気の利いたことも言えない男だがアーシャのことは一生大事にする。君を一生守ると誓う」


 アーシャは抱きかかえられたままレオナルドの頬に手を伸ばしレオナルドの傷跡を優しく撫でた後レオナルドの顔を引き寄せるとその頬にキスをした。



 二人を見守っていたクロイスやマリアナ、セシルが砂を吐きそうな表情をしていたのを二人は知らない。







 


 

 近衛騎士ギルバート・ロランソは扉の前でイライラしていた。


 一応ラヴィニア王女の警護中ではあるがいつもならギルバートは室内での警護である。

 実際は警護とは名ばかりでラヴィニアと甘い時を過ごしているわけだが。


 今室内にいるのはラヴィニアと新しく雇い入れた侍従の男だ。

 王弟殿下からの紹介だというその男、エルベルトは黒髪にヘーゼルの瞳で肌の色も浅黒く精悍なイメージの男だった。もちろん顔の造作は整った美形であるが侍従というより戦いを生業とした人間に見える。


 今までラヴィニアの周りにはギルバートのように騎士でも顔立ちが綺麗で王子様のような正統派美形が多かった。ラヴィニアはワイルドな魅力のエルベルトに甚く興味をそそられたようで、彼が今一番のお気に入りなのである。


「ははっギルバートそんなにイライラするなよ」


 一緒に警護しているスティーブが面白そうに声をかけた。


「うるさいな。イライラなんかしていない」


「ナンバーワンの座をあいつに取られたのが面白くないんだろ」


「取られてなんかいない。ラヴィニア様はちょっと毛色が変わったペットが物珍しいだけだ」


「とか言って、この前もあいつにねだられて新しい小間使いを三人も雇ったじゃないか」


「ふん、あいつが大きい顔ができるのもラヴィニア様が飽きるまでだ。ラヴィニア様は結局僕のような正統派の美形が好きなんだからな」


「だといいけどな」


 スティーブはあざけるように言った。彼も整った顔立ちをしているがギルバートほどではない。ギルバートとつるんでラヴィニアに隠れて女の子漁りをしているがラヴィニアの一番のお気に入りであることを鼻にかけいつも上から目線のギルバートのことが本当は気に入らなかった。

 だからエルベルトとかいう侍従をラヴィニアが気に入ってギルバートがないがしろにされている状況が愉快でたまらなかった。



 扉が開いて中からエルベルトが顔を出した。


「ラヴィニア様がお呼びです」


 ギルバートとスティーブが中に入るとソファーにしどけなく座ったラヴィニアがいた。

 その雰囲気から今まで室内で何が行われていたのかは丸わかりだったがギルバートは気づかないふりをした。


「ギルバートとスティーブは明日の夜会の護衛についてちょうだいね」


 ラヴィニアの言葉に二人そろって頭を下げる。


「「承知いたしました」」


 ギルバートの硬い表情を見てラヴィニアは口の端を上げる。


「あらギルバート、怖い顔」


「いえ、そのようなことは……」


 ラヴィニアはソファーから立ち上がってギルバートに近づくとその頬を両手で包む。

 ギルバートに身を寄せながらラヴィニアが囁く。


「ばかね。嫉妬しているの?私の一番のお気に入りはあなたよ」


「ラヴィニア様……」


 ラヴィニアの腰を抱こうとしたギルバートの手をすり抜けてラヴィニアは面白そうに言った。


「明日の夜会にはあの野獣とアーシュアが来るわ。社交界であの二人は仲睦まじいとか馬鹿な噂が広まっているようだけどあんな野獣を好きになるわけがないわ。アーシュアは父親に言われて我慢しているだけよ。明日はアーシュアがいやいや野獣の隣にいる姿を楽しむの。そして私の周りにはこんなに美しい男たちがいることを見せつけてやるのよ。ふふっ楽しみだわ」


 上機嫌でソファーに座るとラヴィニアは隅に控えていたエルベルトに言った。


「エルベルト、ワインを注いでちょうだい」


 ラヴィニアに不自然なほど近づいてワインを注ぐエルベルトをギルバートが鋭い目で睨んでいた。








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