知らない天井!?
作者は病院とは無縁なので、多少設定ガバガバかも。ファンタジーなので悪しからず。
瞼が開く。あ、あれ、ななな何これ。生きてました?え、ほんとに?あそこから助かることあるの?神はいるな。俺の願いが届いたのだろう。これはこれは、儲けましたわ。
知らない天井??はいはい。ノープロブレムです。はい。どうせ病院でしょう?まもなく15になるのでそれくらいわかります。死ぬほどの思いをした俺は一皮剥けたのです。全てに感謝を。ありがたや。シェイシェイ。thanks。神には何語で語ればよろしくて??おほほ。調子にも乗っちゃいます。
目を覚まして少しハイになっている。しかし、冷静になるとなんとも違和感がある。現在は病室に一人。一人部屋に入院できるほど、うちは裕福ではない。そしてもう一つ。こっちが問題である。
トラックの横転に巻き込まれたにも関わらず、俺が確認する限り五体満足。ありえるのか?そんなこと。
もうバスケができません。と言われるだろうか。ぶっちゃけ、それで済むのであれば、オールオッケー、オールグリーンです。
でも、何かおかしい。段々と事態の異常さを感じる。絶対に死んだと思う。あの直感は絶対に嘘じゃない。きっと体が死を伝えていたのだ。であれば、ここは死後の世界なのだろうか?まるで病室のような地獄なのだろうか?そんなことある?
ナースコールのボタンに目が止まる。しかし、この違和感を解消するまでは、押すべきではないと直感が訴えかける。一回死んで俺のシックスセンスが、第三の目が解放されたのだ。と冗談はそこまでにして。
ベッドについている小さな表示版を見る。
東海林 優 様
俺の名前だ。間違いない。苗字もそこそこ珍しいので、俺が俺であることに安堵する。が、不安が拭いきれない。信じられないことが起こっているのだ。
そうだ!あの時は頭から血が流れていた。視界を奪うほどに大量に。自らの手で慎重に頭を触る。
あれ、縫ったりしてないのだろうか。傷がない。不安が濃くなる。
鏡を見つける。確認する。そこで俺は異常を目の当たりにする。
「だれだこれ。」
おかしい。かなりおかしい。俺の面影はある。まず身長は180cm弱で変わっていない。スタイルの良さは母似だった。そして、母に似ていると言われていた通った鼻筋はそのままだ。ただ、目は違う。明らかにぱっちり二重に進化している。元は父に似て、瞼は重めで一重だ。なんというか。さながらプチ整形。自己評価70点フェイスがが90点フェイス。いや、自己採点だから100点でもいいだろう。究極進化である。
ひとまず、冷静になろう。うん。整理すると簡単な話だ。事故った結果、ぱっちり二重になってしまうと言う怪我をしたのだ。うん。そうだ。(全然冷静に慣れていない。)
これ以上は、一人で考えていても埒が明かない。病院の先生に話を聞こう。多分それしかない。
深呼吸してナースコールを押す。すると病室の扉の方から大きな音が聞こえた。
「わたしがいくから!!担当の看護師なんだし!先輩には関係ないでしょ!?邪魔!!」
「いや、あなたみたいな若い子じゃだめよ!あの子は心のケアが必要なの!あなたにできるの!?」
「おばさんは引っ込んでください!!その化粧品臭い体臭なんとかしてからにしてください!」
わお。何を聞かされているのでしょうか?病院ですよね?ここ。看護師がありえない声で喧嘩してますが。
しかも先輩に対しての物言いとしては、えげつないことをおっしゃっていますが?そんなことより、ナースコールって本来急いで駆けつけるものではないのでしょうか?
いろんな疑問を頭に浮かべていると、また一人増えたようだ。
「あなた達、いい加減にしなさい。いくら今男性専用精神病棟の患者が一人だとしても、騒いでいい理由にはならないわ。細心の注意を払いなさい。
私が行きますから、二人とも戻って。」
「先生ずるいですよ〜。」
扉の外におそらくボスが来た。一番まともそうだ。どうか先生でお願いします。化粧品臭い人も嫌だし、それを先輩に大声で言えちゃう図太い人も嫌だ。今は勘弁してほしい。
しかし、精神病棟とは??どういうことだ??トラックに轢かれたのだが?
少しすると、静かになり、扉が開いた。
「東海林さん。目覚めて良かったです。具合はいかがですか?ただいま親御さんにも連絡入れたところです。」
女性の先生だ。身長は俺より少し低いくらい。170cmあるんじゃないかな?綺麗な金髪のロングヘアーで毛先の方はくるっと巻かれている。扉の外の看護師よりずっと落ち着いている人なのは分かった。めっちゃ仕事できそうな感じ。金髪なのに。(偏見)
「は、はい。混乱していますが、具合は大丈夫です。ありがとうございます。」
先生は俺の返事に少し驚いたように、目を見開く。まあ、驚きますよね。エグい怪我したはずだったもんね。
ただ、先生の次の言葉に衝撃を受ける。
「3日も寝ていたんですよ。」
ふぁっ!?3日!?
てっきり、半年寝ていましたよ。くらいの感覚だった。だって、あの怪我だよ?
仙豆でも食べないと絶対にむりだ。3日の間に仙豆が開発されたとは考えられない。
「あ、あの、俺ってなんで入院してるか聞いてもいいですか?」
「そう。やはり覚えていないのね・・・。んー、そうね。」
先生は考え込んでいる。話すか迷っている感じだ。
「気を使っていただかなくて結構です。」
「・・・そう。分かったわ。あなたはね、睡眠薬を大量に飲んだことによるODで入院しているのよ」
「え・・?」
頭が真っ白になる。理解が追いつかない。トラックに轢かれたのではないのか。ODって??自殺を図ったのか??ありえない。それだけは許されない。母がどれだけ悲しむのか。信じたくない。受け入れられない。体がその事実を拒絶する。
「う”ぉえぇぇ・・・お”ぉえ”」
吐きそうになって何度かえずく。3日寝ていた体には何も入っていない。胃液と涎が口から溢れる。
「ご、ごめんなさい!気を使うなと言っても、目覚めてすぐに話すべきじゃなかったわね・・。」
背中をさすりながら、謝罪される。いや、この人は悪くない。遅かれ早かれ直面する問題だったはずだ。
背中に当たる手に意識を向けると、少し落ち着きを取り戻してきた。
救いがあったとすれば、目覚めてからずっと感じている異常。自分が自分じゃない感覚。
そうだ。俺がおおよそ15年の記憶の中で睡眠薬など飲んだことはないはずだ。
「・・・本当なんですか・・?」
「・・・えぇ。あなたのお母様がお部屋で見つけて救急車を呼んだのよ。」
「はあ・・・。」
先生の眉間に皺がよる。
「あの、いくつか質問したいんだけど、大丈夫かしら??」
「は、はい。」
何個か質問が来る。生年月日や学校のこと。家族のこと。先生は質問を繰り返すが、俺の返答に対して、何度か表情が曇った。
「・・・。以上ね。」
受け答えはしっかりできたと思う。返答の間に、先ほどまでの混乱は多少おさまっていた。
先生は考えているような表情だ。
なんとなく俺も状況を察しつつあった。
仮にODが現実に起こっているとしたら、俺の記憶に齟齬があるということだ。
「親に先に話すか悩んでますか?」
「えっ!あっ!自分の状況がわかっているの??」
驚いた表情をみせた。その後、先生は少し間を置いて言葉を続けた。
「睡眠薬を大量に摂取すると意識障害が起こることがあるのよ。」
このやり取りで確信した。おそらく先生の中で俺は意識障害、記憶障害と判断しているのだろう。
そしてそれは正しい。冷静に考えれば、睡眠薬も飲んだこともないのに、突然大量にそれを煽る意味がわからない。加えて、俺自身、自殺という選択は絶対にとらない自負がある。
つまり、何が起きているのか。今の俺は、俺であって俺ではないということなのだろう。そう思うと、少し気が楽になった。
「俺からも質問していいですか?」
「ええ。」
「答えた生年月日はあっていましたか?まもなく15歳になるという認識をしているんですが。」
「誕生日はあっているし、年齢もあっているわ。ただ、生まれ年に関しては違うはね。今は西暦4215年よ。つまり、あなたは4200年3月21日生まれの14歳よ。」
4、4200年!?未来なのか?いや、パラレルワールド的な??むむ。
これは、おそらくいくら考えたって答えは出ない。
俺の考えをまとめる。トラックで轢かれた俺は死んだ。そして、この体の俺に記憶が引き継がれている。
そして、この体の前の記憶は失われているという状況。転生??憑依??まあ、表現は難しいが、そんな感じだ。
そして重要なことがもう一つ。この体の俺と死んだ俺は全くの別人とは言えないということ。
理由は簡単。母の面影があるからだ。それは間違いない。あと前世と全く同じ位置にほくろがある。たまたまにしては出来すぎている。名前も年齢も誕生日も一緒だし。
全貌が見えてきて、かなりメンタルも落ち着いた。
一度死んで母を悲しませた事実は消えていない。そして、今の俺は自殺を図ったという罪を背負っている。
落ち着いたとはいえ、受け入れ難い事実だ。向こうの母に伝えたい。なんとか生きてるよと。
ただ、今は状況を飲み込むことだけを考えよう。きっと大丈夫だ。そう信じよう。
次に気になったことを先生に尋ねた。
「家族は??どうなってますか?母と姉の3人家族と認識してしているのですが。」
「・・・。おそらく意識障害の影響だと思うのだけど、あなたの家族はお母様とお姉さん2人と妹さんが1人いるわ。」
「・・・。そうですか。わかりました。」
家族構成が完全に違う。これには多少がっかりした。なぜなら、前の世界に近い家族を期待していた。今の俺と過去の俺が別人ではないなら、母や姉もそんな感じかもなどと淡い期待をもっていた。
まあ仕方ない。完全に俺がイレギュラーな存在だと理解した。
「先生にお願いがあるんですけど。」
「何かしら??なんでも言ってちょうだい。」
「母には俺に会う前に俺の状況を伝えて欲しいです。先生もお察しだとは思いますが、入院する前の記憶がありません。残念なことに家族のことも全くと言っていいです。俺の口から母に初めましてというのはショックを受けると思うので」
「わかったわ。まもなく到着すると思うから、まず私の方でお話しするわね。ちなみに、お話が終わった後、お母様に会うことできそう??」
「それは問題ありません。むしろ、会ってみたいです。」
「承知したわ。無理はしないで。困ったらナースコールを。では、行くわね。」
先生が病室を去った後、俺は逡巡する。
この世界の母はどんな人なのだろうか。自殺を知った時どんな気持ちだったのだろうか。心配してくれたのだろうか。姉妹たちはどうだったのだろう。前の俺はそんなに生きることが辛かったのだろうか。
答えのない不安が渦巻く。
でも、絶望はしていない。なぜなら、元の世界の母に返しきれないほどの愛をもらい、その愛を返すこともなくこの世界に来たのだ。
友人だっている。武田は俺が死んでもきっと親友だと言ってれるだろう。そう、俺は記憶を失って孤独になったようで、そうではないのだ。
むしろ、二度目の人生を与えられたことを感謝しようではないか。うん。そうしよう。
ついに転生しました!優くんの情緒はずっと不安定ですが、彼なりに前向きになろうとしていることが伝われば嬉しいです。
今回の登場人物は先生と優くんだけだったので、先生の名前は登場しませんでしたね。なので紹介しておきます。
キャラ紹介
●長谷川 アンナ 病院の先生。172cm。29歳。金髪ロングの巻き髪。めちゃ仕事できるお姉さん。Gカップのダイナマイトお姉さん。
ちなみに、作者は登場人物がいきなり増えると読んでても困っちゃうタイプなので、ゆっくり出していきたいと考えてます。
あ、家族はさすがにまとめて出しますが。




