僕はゼネラルマネージャーになって、プロ野球の世界で夢を叶える
大野先生のご自宅で、僕はお線香をあげさせてもらった。
旦那さんについてのやりとりをしばらくしてから、野球の話になった。
「残念だったわね、日本シリーズは。もうちょっとだったのに」
「はい。選手たちはこれ以上ないくらいよくやってくれました。僕が、やはり甘いみたいで」
「そんなことはないよ。あのすぐ後に、町田くんのケガがはっきりしたんでしょ? もし無理をさせていたら、選手生命が絶たれていたかもしれなかったって。あのコたちのことを一番に考える、あなたは立派な指導者だよ」
「彼に関しては正しい選択だったかもしれません。しかし、やり方次第で日本一にはなれたと思うんです。何かアイデアを考えついても、それは選手は困るんじゃないか? とか、小心者だからためらってしまって。監督の器ではないんですよ」
「そんなことないって」
「いえ。なので、ゼネラルマネージャーに戻りたいとオーナーに相談しまして、承諾していただいたんです。それで、後任の監督なんですが、先生、もう一度やってもらえませんでしょうか?」
「え? だって……」
「誰が良いか散々頭をひねったんですけど、モチベーションを上げたりと選手たちの持っている力を最大限引きだして、僕と違って堂々と常識に収まらない采配もできる方というと、どうしても先生以上の人は僕には思い浮かばなかったんです。どうかロケッツのために、お願いします!」
僕は思いきり頭を下げた。
「……そんなこと言って、夫を亡くして、いよいよあとは自分が死ぬのを待つだけになっちゃう私を心配してくれての判断なんでしょう?」
「いや、違いますよ」
僕は首を横に振った。
「まったく……」
すると、先生の目から涙があふれて、彼女はそれを人差し指でぬぐった。
「本当にあなたは甘いわね。ただ、私は最高の教え子を持った。わかったよ。日本一を目指して、また一緒に頑張りましょう」
「……はい!」
よかったー、受けてもらえて。
父さん。三年間も実現できずに申し訳ありませんでしたが、来シーズンは、本当に今度こそは、夢の日本一を成し遂げてみせます。
ぜひ楽しみに待っていてください。




