球団社長 三浦廉次の話
私は、幼少期からずっと勉強はできたけれども、それだけしか取り柄のない野暮ったい人間だった。
その自分に比べて、ロケッツのオーナーでもある藤野将克社長は、ワルのにおいが漂っていてかっこよく、それでいて優しいという、昔は少なからず存在した「本物のスター」といった方で、私の理想とする男性だ。
社長にどうにか気に入られたくて、仕事を人一倍頑張ってきた。しかし、私の気持ちを見透かしてらっしゃるようで、あまり好かれていない感じがしていた。
そんなある日に、北信越ロケッツの球団社長になるよう命じられたのだ。
これは、本業にお前は必要ないという意図の、実質的には左遷ではないのか? しかも、顔を合わせるたびに、「あいつ、おもしれえな」と桜井のことばかり口にされるのである。
くそー。軟弱で頼りない印象しかないというのに、桜井の奴め。
だが、ふとひらめいたのだ。そうか、面白い、か。もしあの男をロケッツの監督にしたならば、社長は面白がって評価してくれるんじゃないのか? と。
すると、狙い通り、笑いながら親指を立てて、こう言ってもらえたのだ。
「お前、よくあいつを監督にって思いついたな。ナイスだ」
よっしゃー!
私は内心大喜びした。
だいたい、万年最下位だったロケッツをここまでにしたんだ。中途半端で終わらせず、自らの手で日本一にまでしてみせろよ、桜井。日本シリーズで、うちのライバル企業が所有する、神戸スピアーズに負けたままにするのも許されることじゃないぞ。
それが男……じゃなかった、一人前の大人がやることだろう。




