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僕はゼネラルマネージャーになって、プロ野球の世界で夢を叶える  作者: 柿井優嬉


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アローズ強し

 リーグで二位だった東京アローズは、徐々に勢いが増していき、ロケッツを追い抜いて首位に立つと、そこから六連勝するなど、さらに勝ち星を積み重ねた。

 かたや我がチームは、勝ったり負けたりの、少々停滞といった状態に陥った。

 その原因に、茂木選手のブレーキが挙げられる。彼は、アローズ戦で、しつこく内角を攻められるなど、西園寺選手に徹底的にマークされたことにより、当たりが止まってしまったのだ。


「あー」

 僕は、部屋で一人、頭を抱えた。

 やっぱり、あの西園寺選手のFA移籍のときに獲得を見送った判断は誤りだったかもしれない。彼を獲っていれば、ロケッツは今頃優勝への道を快調に走り、茂木選手だって、レギュラーをつかむのに時間はかかったとしても、西園寺選手を間近で見て勉強になるうえに、攻守両面でたくさんアドバイスをもらえたに違いないし、成長する材料に恵まれて、トータルで考えれば良かった可能性が高い。

 またしても僕はチームの足を引っ張ってしまったか……。高岡さんは責任を背負い込みすぎでもっと気楽でいて大丈夫だと言ってくれたが、ゼネラルマネージャーはそれくらい重要なポストのはずだ。

 しかも、明日からは再びアローズとの三連戦なのである。ここで三タテを食らおうものなら、早くも彼らに独走を許したというほどゲーム差が開くことになる。


 その後も、僕は、失敗したかという気持ちを引きずり、チームの状態を良くする方策を考えるものの思い浮かばずにいて、とても冴えない表情をしていただろう。

 うーん……。

「桜井GM」

 ん?

 チームのところにいて歩いていた僕の名を呼んだのは、茂木選手だった。

「最近、凡打ばかりで、チームに迷惑をかけてしまって、申し訳ありません」

「え? いや、何を言ってるんですか。ルーキーなのに、よくやってくれていますよ」

「いえ、全然駄目ですよ。でも、明日からのアローズとの試合は、使ってもらえれば必ず結果を出しますので。はい。絶対に」

 んん?

 それはどうやら、新人である本人から監督に「自分を試合に出してくれ」なんて口にできないから、僕に「代わりにお願いします」と暗に言っているようだった。

 本当にそうなのか、確かめるのは野暮な気がして、僕は大野監督と顔を合わせた際にこのように話した。

「もちろん誰を起用するかは監督が決めることですが、茂木選手がどうもアローズ戦でリベンジしたい気持ちが強いみたいなので、頭に入れておいてください」

「ふーん、そうなのね。わかったわ」


 そして迎えた三連戦の初戦で、茂木選手は、ここのところは指名打者か代打か、キャッチャーをやる場合は主に点差がついたゲームの後半での出場だったのだけれども、久しぶりにスタメンでマスクをかぶり、町田投手との去年と今年のドラフト一位バッテリーで、アローズと相対することになったのだった。


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