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僕はゼネラルマネージャーになって、プロ野球の世界で夢を叶える  作者: 柿井優嬉


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襲いかかってくるドルフィンズとトレード話

 しかし、あの東城GMと仁科監督率いるドルフィンズが、このまま引き下がるはずはなかった。

「あー」

 ロケッツの試合を観ている僕は、落胆の声を漏らした。

 打席の馬場選手が、チャンスの場面で三振したのだ。

 プロ初ヒットと初ホームラン以降も良い調子で、打ち続けていきそうな雰囲気があった彼だが、そのタイミングでドルフィンズとの対戦が多く組まれており、元々パンチ力はあっても粗さも目立つバッティングを配球などでうまく利用されて凡退をくり返したことで、勢いは急速に衰えてしまった。

 また、ポジションはセカンドの守備も不安があるのを見通されていたようで、向こうのバッターたちは明らかに二塁のほうを意識して打撃をしたうえ、スチールといった走塁でも彼を混乱させる動きを頻繁に行ったのである。

 そしてエラーをたびたび犯し、馬場選手はレギュラー定着とはいかずに、スタメンと代打での出場が半々という状態になっている。

 ロケッツをこれ以上乗らせないために突くポイントとして東城さんから情報があったのだろうし、仁科監督もさすがの采配でそれに応えたに違いない。


 しかも、東城さんはさらなる策を講じてきたのだ。トレードの話をうちに持ちかけてきたのだけれども、その内容がなんと、ドルフィンズの一軍で長い年月先発メンバーを務めている岩下選手と、馬場選手の交換を求めるというものだったのである。

 岩下選手はシーズンで二十本以上のホームランを記録したことが何度もあるし、中盤に入っている今年もすでに十七本に達している。うちの打線は、二番コード、三番安永、五番森崎各選手に、馬場選手が起用される場合は七番で、四番にはジールという外国人選手が入る並びが基本だが、もし彼が加入すれば、四番あるいは六番辺りじゃなかろうか、厚みは確実に増す。どう考えてもプレイヤーの力量のバランスが取れておらず、こちらがすごく得をする申し出だ。

 しかし、だからこそ何か裏があるとしか思えないし、僕やロケッツのチーム全体を揺さぶってきたのだろう。おそらく去年のトレード話で僕が優勝を逃す原因となったこともわかっている。

 あー、もー、あの手この手でこちらを惑わせてきて、本当に嫌になる。

 どうしようか……。

 今年だけで判断するなら、絶対に受けたほうがいい。

 でも、馬場選手の将来が期待大だから、向こうは彼を指名してきたということであるはず。

 うーん……。

 僕は、以前も述べたが、馬場選手に個人的な思い入れなど持っていないつもりだ。いくら、母子家庭で苦労してきたぶん活躍してもらいたい気持ちがあったり、自分と同じく周囲から嫌な目に遭わされた過去を有しているとしても。

 去年のように監督やコーチたちに相談したら、同じ流れになるんじゃないだろうか。監督のみ反対で、コーチは全員賛成と。

 そうなったら、もう受けざるを得ないだろう。その後の結果云々ではなく、現場の多数派、とりわけ元プレイヤーの方々の意見を聞かないということで、僕らの関係性にひびが入ってしまう。

 きっと、それこそが東城さんの一番の狙いなのだろう。くそー。


 僕は迷いに迷ったが、その誘いを断った。今回は誰にも考えを求めずに。

 しかし、伏せていても、トレードの情報は耳に入ってしまうものなのだ。選手やコーチたちは「あいつは何をやっているんだ!」と憤慨し、まさかの二年連続でトレードの失敗によって優勝を逃すという大失態にもなるかもしれない。

 そうしたら、さすがに今季で僕は退任する運びとなるだろう。


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