開幕三連戦での苦境
「ああ……」
去年は三浦社長がロケッツのワンサイドでリードを許す試合展開によって見せた状態に、今年は僕がなった。
北九州ドルフィンズとの開幕三連戦で、昨日の初戦に続き、今しがた終了した第二戦も落としてしまったのだ。シーズンは本当に始まったばかりだから、こう述べるのは早いとはいえ、もくろんだスタートダッシュにつまずいた格好だ。
僕は、スタートダッシュは必ずしもしなくて構わないという立場だ。開幕戦は注目が尋常ではないし、特に指名された先発ピッチャーはすごく名誉なことだから、勝ちたい気持ちがその後の試合よりも大きいのは仕方がない。チームが波に乗れるかどうかという点で、最初が肝心なのも理解しているつもりだ。しかし、意識が強すぎると、思わしくなかった場合に、一年間引きずる結果に陥りやすくなるわけで、それはどう考えても好ましくない。
だから僕は去年の開幕ゲームで大敗を喫してもまったく動揺しなかったし、大野監督にもシーズンの初めにうまくいかなくても気にする必要はないと前の年から伝えてある。
ただ、プレーをしていたコーチたちには、そんなことは口にしていない。彼らには素人とは違う感覚や思考があるかもしれないし、僕なんかが偉そうに「最初が悪くても——」だなんて、単なる失礼な発言だろう。
なので、元は選手だった皆さんがどの程度開幕に重きを置いているか、はっきりはわからないけれども、そうはいっても僕のように、良くなかったケースで引きずることにならないために、最初を大事に考えすぎるのは駄目というのも頭にあるはずで、相手のドルフィンズの首脳陣だって同様に違いない。
ところがドルフィンズは、まるで目の前の試合がすべてのトーナメントや短期決戦のような、何が何でも勝利するといった戦い方をしてきたのである。
ピッチャーは少しでも危ない感じなると代える小刻みな継投をし、野手陣はスチールややエンドランを仕掛けて一つでも先の塁へ進もうとするアグレッシブさを見せ、かと思いきや、送りバントで確実に一点を取りにくるなど、その多彩な戦術の中心にいるのは、名将の仁科監督で間違いないだろう。
彼のさすがと唸ってしまう采配で、ロケッツは後手に回り続け、一対八と二対六というスコアで、二試合とも一度もリードを奪えない、完敗だったのだ。
そうはいっても、僕はスタートダッシュをできなくても問題ないというスタンスなのだから、そんなに肩を落とすことはないはずと思われるかもしれない。
しかし、次の三戦目のうちの先発は、メンタルに不安がある町田投手なのだ。ただでさえプロ初登板でプレッシャーが生半可ではないというのに。せめて一つは勝って、少しでも楽な気持ちでマウンドに向かわせてあげたかったのである。おそらくドルフィンズもそれを見越して二連勝するためにあんな戦い方をしてきたのだ。
でも、過ぎてしまったことをいつまでも嘆いていてもしょうがない。
明日の試合に関しては結果はいいから、とにかく持っている素晴らしい力を出して、今後につなげてください——。
僕はそう願った。
そして、町田投手のデビュー戦の日がやってきたのだった。




