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【第一部完結】推しヒロインは俺が救う  作者: 白永央はひな
《第7章》エルフの里・救済編

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第51話 ダークエルフ襲撃事件

《ティラ視点》

「やはり、アゼルは落ちなかったよ……」


 世界樹を遠くから望める丘の上で、私は仲間に話しかける。


「まあ、剣聖だからね。上級職のやつは、基本的に精神耐性が高めだもんね?」


 ミル・フィールは、仕方がないよねと言う。


「長期に活動したのに……、残念です」


 ガトー・ショラコは、落胆していた。


「この騒動を生き残れば、まだ可能性あるかもしれないよ?」 


 サン・トノレは、まだ諦めていないようだ。

(サンの言う通り、まだ可能性はあるか? できれば……、欲しい)


 私たちは、魔王軍第四工作小隊。この作戦の目標は、アゼル・レヴァイアだ。

 可能なら魔王軍へ勧誘、難しければ殺害するという作戦。


「精神干渉による洗脳は失敗。途中まで、良い関係になったと思ったんだけど……」

「学園都市へ一度行ったじゃん? あの後からちょっと変わった気がするよね?」

「たしかに。怨念が薄くなったし、干渉ができなくなったね」


 振り返りも大事だが――


「さて、どうするか……。みんなの意見は?」

「あたしは、殺すべきだと思う。もう、懐柔は失敗っしょ」

「私は……、懐柔です」

「生き残ったら、最後の選択肢をあげたい」


 ふむ、意見は決まったな。


「最後の選択肢で行こう」

「「「了解!」」」


 クルフ村の族長たちを精神干渉で洗脳して、アゼルたちを孤立させる所から始めた長期作戦だ。これだけ時間を掛けた分の、リターンが欲しいと思ったのだ。


「私たちのためにも、生き残って下さいね。アゼルさん?」



◇ ◇ ◇

《アイン視点》

 急に起きた爆発――


(セラフっ!! みんなっ!!)


 まずは高い舞台の上に居た、セラフの無事を確認しようと走り出した――


(みんなはきっと、纏まっているはず! 一人のセラフには前衛が必要だ!)


 僕は、腰のポーチから装備を取り出した――そう、エルフの里に来る前にマジックポーチを買っておいたのだ。みんなも買ったので大丈夫なはず。

(とても値段が高くて尻込みしたけど、ケイに勧められて買っておいて良かったよ!)

 でも――セラフは、今は持ってない!


 舞台に跳び上がって、着地した時に見た光景は――巫女装束のセラフへ襲い掛かる、複数の黒頭巾を被った集団。


「させるかぁーー!!!!」


 僕は瞬時に光を纏い――

 次の瞬間にはセラフの横で剣を振り切り、襲い掛かってきた集団を吹き飛ばした。


「アインさんっ!」

 

 セラフは嬉しそうな表情で、僕の側に寄ってくれる。


「大丈夫かい? 装備を今っ!」

「大丈夫ですぅ! 今はまだ世界樹様の加護が、巫女装束に付与されてるので平気ですぅ!」

(そんな仕様があったんだ!?)


 ちょっと感心しつつ、舞台に上がってきた黒頭巾五名と対峙する。


「アインさん! 黒頭巾さんたちは、どうやら操られてるだけっぽいですぅ!」

「それも加護の力?」

「はいぃ! 世界樹が教えてくれてますぅ~」

(すごいな!? 世界樹の力!!)


「みんな~~!! 敵は操られてるだけだ~~!! 無力化するだけにしてくれ~~!!」


 僕は大声で、舞台の下に居るであろう仲間に伝える。

 

「うわっっぷ!」 キインッ! 


 慌てて敵の剣を弾く。

 大声を出してる間に、敵に詰められていた……。


「させませんっ!」


 セラフが扇を振ると、突風が吹き荒れて黒頭巾たちを遠くへ飛ばしてしまった――

 そう思ったのだが……、上手く風を操って戻ってきた。


「むむぅ。加減が難しいのにぃ~」


 セラフは、頬を膨らましていた。

 チラッと見た僕は、(可愛い……)と惚けてしまった。


「アインさんっ!」 ギュリリリ!


 またもや敵が切り掛かって来ており、セラフが風で防いでくれていた。

(ごめんっ! セラフっ!)


 僕は、身体強化を強めて前に出る――

 敵の短剣を避けつつ、通り過ぎる時に敵の意識を刈り取って行った。

 バタリ。


「ゴメン、ちょっと集中を切らしてしまった」


 素直に謝らせて頂いた。


「本当にお願いしますぅ! アインさんは必要な人なんですから……」


 ちょっと頬を赤らめながら言わないで欲しい……、また集中が切れてしまうから。


「ふう、さすが勇者だな。さすがに強い……」


 その声に、二人で振り返る――

(気配に気づけなかった――)


「アゼル……」

「久しいな、セラフ……」


 二人は見つめ合う。


「なんで、あなたが?」

「……種族存続のためにかな?」


「あなたは……、操られていない……、よね?」

「ああ。……あたしが首謀者だよ」


 セラフは、悲痛な表情になって――


「なんでぇ!?」


 アゼルと呼ばれた黒エルフは微笑んだ。


「……お前を、殺さないといけないのさ」


「っ!!…………」

「さあ、構えな……」


 そう言ってアゼルは、自身の剣を抜く。細身の剣、レイピアというやつだ。

(……隙が無い!?)


「気をつけて、下さい。……彼女は、剣聖。エルフ領で最強の剣士ですぅ……」

(……なるほど、納得だ。彼女は、強い!!)


「来ないなら、行くぞ?」


 瞬間、彼女の姿がブレる――

 瞬きの間に、レイピアの剣先がセラフの胸を貫いた――

 キインッ!

(くぅっ!! 間に合ったっ!!)


「さすがっ!」 


 彼女は笑い、一度距離を取る。

 僕は光を纏い、やっと止められた速さだった。


「魔武術も使えるのかい? さすが勇者。じゃあ、あたしも使うよ、魔武術――」


 紫の瞳が煌めき、アゼルは風を纏った――


 月明かりが反射する綺麗な銀髪が、自身が纏う風によって揺らめいている。


 僕も、全力でやるしかないと思った。


「セラフ、手加減はできなそうだ」

「……分かっていますぅ。アゼルは、手加減して勝てる相手ではありません」


 僕は光を纏い、そして――


「わたしもぉ、闘いますぅ!」


 セラフも風を纏った――


「操られてないのなら、何か彼女にも理由があるはずだ! セラフ、二人でアゼルを止めよう!」

「はい! 必ず!!」


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