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推しヒロインは俺が救う  作者: 白永央はひな
《第1章》 少年~入学前編

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第4話

 姉さんが領都へ旅立ってから、数日が経った。

 寂しい気持ちになり、訓練に身が入らず、ここ数日ずっと家でボーっとしていた。


「ヤバい……、姉さんロスだ……」


(っ!――このままじゃダメだろ俺!!)


 何とか自分を奮い立たそうとするものの、今までの修行に戻るモチベーションも持てなかった俺は、自身の知識に何かなかったかと記憶の奥底に沈んでみた。

(…………あっ) 


 そういえば――

 魔族の中には、大気中の魔素を吸収するやつとかいたなと思い出す。

(……できたら魔力回復が早くできて、いっぱい訓練できるんじゃないかなぁ~)


 俺は目を閉じ、大気中の魔素を感じ取れるか集中してみる。


(――っ! あるぞ!? なんかあるのがわかる!!)


 俺は新たな発見に興奮しつつ、更に実験を進めていく――


(よし! 大気中の魔素をいつもやっている魔力循環の要領で身体に集める感じで――!!)


 ――すうっ。


 胸の奥が、温かい魔力で満たされた。


「……入った」


 確信した瞬間――



《スキル獲得》

 技能

 【魔素吸収】を獲得しました。



(できたぁぁぁ!?)


 慌ててステータスを開く。


 技能・魔素吸収:F


(覚えてるぅ~、すごいな俺……)

 

 楽しくなって身体の内外の魔力や魔素をグングンと循環させまくっていると―― 

 

 魔力操作:S → U


 ――その瞬間、頭の中で何かが弾けた――

 

 ただ、真理だけが流れ込んでくる。


(……そうか)


 無属性魔法は属性を持たない魔法。(そうだ)

 だから弱い。(違う)

 無属性だから何にもできないし何にも使えない。

(何にもできないんじゃない……何にも使えないんじゃない……)

 形も、性質も、制限もない……。

(無属性ってのは……何だってできる力だ!!!)


 ――ただ“魔力そのもの”を、どう使うか――


 俺は、笑っていた。

 手のひらに魔力を集める。

 圧縮する。伸ばす。薄くする。絡める。

 “魔法”として定義されていない。

 けれど、確かに現象が起きる。

 空気が歪む――地面の砂が浮く――魔力が、意志に従う。


 次の瞬間。

 ステータスが、書き換わった――


 名前 :ケイ・ツクヨミ

 レベル:1

 年齢 :13歳

 ジョブ:未取得

 適性属性:なし

 魔法・技能:

  ・創作魔法:U (New!)  ・魔力操作:U  ・魔素吸収:U  

  ・剣術:U   ・体術:U  ・身体強化:U  



「……はは」


 乾いた笑いが出た。

 無属性魔法、消滅。

 代わりに現れた――”創作魔法”

 ゲームには、存在しない……俺だけの魔法。

 そして、ステータスカテゴリ『U』

 【Unbound】

 【縛られない】

 俺が転生者だからなのか、転生特典なのか――

 俺に”限界が無くなった”

(真なる俺…… 爆・誕!!)


「ふふっ、ふはっ、フハハハハハ!!」


 笑いがこみ上げてくる。

 天が俺に彼女たちを救えと言っていると思えた。


「世界よ……俺を止められるかな?」


 遥か遠くの空に向かって…俺はつぶやいた……。



◇ ◇ ◇

《アイン視点》

 ステラ姉さんが領都へ旅立ってからケイは家から出てこなくなった。

(やっぱり寂しいのかなケイ。元気が目に見えて落ちているよ……)

 僕も寂しい……でも、僕は逆だ。

 落ち込んでいる暇なんてない。

 必ずステラ姉さんの後を追えるように強くならなくては! 

 時間は限られているから――


 そんなある日――

 突然家の中から、「ふふっ、ふはっ、フハハハハハ!!」とケイの高笑いが聞こえた日から、ケイも元気になった。 

(嬉しいんだけど……理由は教えてくれないんだよなぁ……)


 前から少しずつだけど動きが良くなってきていたとは思っていたけど……、あの元気が出た日から動きがすごく洗練されてきた。僕が本気でないとついていけないくらいに。


 それからは二人で、今まで以上に無茶な訓練?いや、修行の毎日を過ごした。


「いくぜぇっ!アイン!」

「よしっ!こっ……」


 ドガァ!!――


 意味が分からなかった。ケイが目の前から消えた――


 ――と思ったら、後ろの大木にめり込んでいた……。


「……ケイ、大丈夫かい?」

「……ギリギリ生きているぜ……」


 いい笑顔で流血しつつ、手足が変な方に向いていた……。


「うわぁ……、ライトヒーリング……、これは中々……」


 ケガが酷いから集中して治療していく。

(本当に魔力操作の訓練をしておいて良かったよ)

 最近こういう無茶をするから、僕の光魔法は回復魔法が一番熟練度があがっていた。(まぁ、良いんだけどさ……、本当に死なないでよね……)


「……いつもありがとなぁ、アインがいるから俺も無茶ができるよ」


 言われてちょっと恥ずかしくなるけど、何か心がポカポカした……。


「ケガしないでくれるのが一番なんだけど!」


 悪い悪いと言いつつ、ケイはまたやるんだろうな……。

(二人で強くなって、すごいジョブ授かって、一緒にステラ姉さんのところに行こう!)


 そして日々修行に明け暮れ、僕たちの運命の日になった――


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