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推しヒロインは俺が救う  作者: 白永央はひな
《第6章》学園闘技大会編

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第40話

《ナミエ視点》 

(勇者パーティーのメンバーも覚醒してるって、ケイ君が言ってたさぁ)

 ラフィさんを見ると、魔力の流れに澱みがなくて、強いなって一目で分かった。

 あーしもケイ君に鍛えてもらって、強くなったって自覚は持てた。

 でも――


「あーしが出来ることって、まだたくさんは無いさね~」


 そう。ケイ君ぐらいの強者が相手の時の対処法が、思いつかないままだった。

(ケイ君と一緒に今後もいたいなら。あーしはここで、自分の有用性を証明しなくちゃいけないとさね~)

 魔力と共に、決意も巡らせる。


『さあ、準備が出来ましたか~。メルルちゃん試合コールよろです!』

『だ・か・らっ! もういいです! 試合開始~』


(いくよ! シーサーたちっ!)


 いつもの倍――

 八体の炎獣がラフィさんへ向かって走り出す。全ての炎獣が別の軌道を経て彼女へ到達するが。


 ジュウウウゥゥ!!


 ラフィの張った水壁を、越えることができなかった。

(……厄介さ!)

 ラフィの水壁は、蒸発させてもすぐに水蒸気を集めて再生させてしまうのだ。


「私の水壁は、いくらでも再生するわ!」

(いやいや! それはないさ~!)


 だけどコスパが良いのは事実、無から有でなく、有から有だから。水や水蒸気がある限りは破れない?


「これならっ! どうさ~~!!」


 拡散させていた魔力でたくさんの小炎獣をラフィの周りに顕現させる。

 しかし、彼女は不敵に笑う。

(嫌な予感がするさ~っ!)


「ッ! 獅子爆!」

「遅い!」


 瞬間―― 

 あーしの小炎獣が爆発する前に、水針が全ての小炎獣を貫いた。

(そんなのありさ~!?)


 あーしが驚いているタイミングで、ラフィさんの目が鋭くなった気がした。

(っ! まずい気がするさっ!?)

 瞬時に魔力を纏って走り出す――


 さっきまであーしがいた場所に、無数の水槍が刺さる。

(危なかったさ~。みょおおお~~)

 休む間もなく、次々と飛翔する水槍を必死に避け続けた。

 攻撃が止むと、息を切らしたラフィさんがこちらを睨んでいた。


「流石ね……。ナミエ・シーサ」

「フルネームでなくともさ。ナミエでいいよ?」

「…………そう。ナミエ、やるわね」

「ラフィさんの攻撃も、やっと避けられた感じさ~」

「普通は、避けられる人の方が少ないのだけど?」 

「サンキューね~」


 お互いに魔力を練り直す……。


(あーしの方が、速いっ!!)

 両手を前に出して、今できる最強の技を放つ。


 あーしの周りに顕現した16体の炎獣。

 炎獣たちの口内に炎熱を収束させる。

 そして、放った炎弾を更に螺旋収束させて、放つ――


「獅子砲~~!!」


「負けないっ!!」


 対してラフィさんは、全面に水壁を集中して受けた。


 ブシュウウウウウ!!っと、ものすごい勢いで水蒸気を撒き散らし、闘技場は一面が視界不良な状態になった。


(っ!? この視界の悪さならっ!)


 あーしは閃いた、今こそケイ君に教わった――


(潜伏っ!――からのっ!――忍び足っ!!)

 

 シュウウゥゥゥ……。音が止み、徐々に視界が晴れてくる。

 そして――

 闘技場で立っていたのは、あーし一人だった。


『試合終了ーーー!! 勝者! ナミエ選手ううう!!』


 うおおおおおおお!!!! 大歓声が響く。


『魔力探知で見ていましたが。ナミエ選手は最後に高速移動をしてラフィ選手のうしろに回り込んで、当て身で彼女を倒したようですですね~』

『え!? メルルちゃん、ちゃんと解説できたのおおお!?』

『失礼! 本当に失礼ですですよ~~!』



◇ ◇ ◇

《ラフィ視点》

 気づいたら知らないような、知ってるような天井だった。


(……負けちゃった)


 必死に水壁の維持をしていたら、急に後ろにいるって……。


「ナミエさんは、魔法使いじゃない人みたい……」

「確かにね」


 手を握ってくれていたアインが、微笑みながら話してくれる。


「ケイの周りの人間はきっと。全員が、身体強化して動き回るって感じだろうね」

「うわぁ。アーキみたいな動きをする魔法使いってこと?」

「そうなるね……」

「強いわけね……」

「僕たちも出来るようになろう。きっと、強い人たちはみんな使えるはずだから」

「ええ。みんなで頑張りましょ」


 私たちは未来の強敵を見据えつつ、自分たちがすべきことを考えていった――



◇ ◇ ◇

《モニカ視点》

 ルウは強い。たぶん、わたすたち三人の中なら、一番……。


「わかってはいても。負けられねーっす!」


 わたすは自分の顔を叩き、気合を入れる。


「よしっ!」


 わたすは闘技場に、足を踏み入れた。


『さーあっ! 本日の最終戦です! モニカ対ルウ。見どころはどこですか? メルルちゃん!』

『まったくも~っ! そうですね~。簡単に言えば、力と技のぶつかり合い、ですです』

『なるほど~。今までの試合でも、彼女たちの闘い方は明確ですからね~』

『そして、同じパーティーメンバー。手の内もわかってるはずですです』

『面白くなりそうですね~っ!みんなで盛り上げて行きましょう!!』

『では、本日最終戦。試合開始!』

『唐突~~!!』


(やはりルウは、待ちの姿勢っすか……)

 魔力を循環させているのは分かるが、ルウは動かずに構えていた。

(……隙は無いけど)


「わたすは、突っ込むのみっす!!」


 全力で蹴って前へ出ると、地面に亀裂が走った。正面から真っ直ぐに、わたすが出せる最高速度でルウへ迫る。


 一閃―― 


 ブオンッ!!と超重量のメイスを叩き込む!!


 ギャリリッ! ドゴォッ!! ルウの側の地面が破裂する。


「っくぅ……」


 わたすの一撃は往なされてしまったが、その衝撃の余波でルウも多少動いた。

(少し動いただけっすかあああ!?)


 この威力で、この動きだけ。

(あまりにも理不尽……。でもっ!!)


「わたすはっ!! 攻めるのみっす!!」


 今のわたすに出来る全力の身体強化で連撃を繰り出す――


「うりゃあああああ!!」

「っ!!…………」

 

 超重量のメイスを、遠心力と膂力で連続して打ち込む。それを最小の動作で避けて往なして反撃するを繰り返すルウ。

 わたすたちを中心に衝撃や余波が広がり、闘技場を削っていった。

(わたすは回復しているから無傷としてっ!! ルウは少しずつ傷が増えている。けど、どうしてっ!?)

 ――表情ひとつ変わらないんすかっ!?


 わたすの敗因はこの瞬間だったと、あとで分かった――



◇ ◇ ◇

《ルウ視点》

 モニカの連撃を、全力で魔力制御をした身体強化でなんとか捌いていました。

(最初の一撃といい。私相手だからって、殺す気なんですかっ!?)


 必死に耐えているのは私ですが、モニカの方が必死に見える気がしました。

(私……、表情筋が死んでるので、あまり顔に出ないんですよね……)


 だんだんと傷も増えてきており、いつまで捌けるのか不安になってきた時――

 勝機が舞い降りました。


 焦ったモニカが溜めを……、一瞬ですが魔力を集中させた攻撃をする、溜めを作りました。

(強力な攻撃が――来る!!)


 その攻撃のモーションに入ったモニカを見て、私は口元が少し綻んでしまいました。

 私の表情を見て、モニカは驚愕しますが――


(もう遅いですっ!!)


 真横から振り抜かれようとしている一撃――

 

(私はこの一撃に全てを乗せますっ!!)


 最高速でモニカの懐へ侵入! 強力な一撃の威力の勢い利用!!

 更に私の魔力を上乗せして吹っ飛ばしました――


 ドガアアアアン!!!!


 モニカは、もの凄い勢いで場外の壁に突っ込みました。


(……大丈夫でしょうか?……やりすぎた?)


『しょ、勝者っ! ルウ選手~~!!』


 うおおおおおおお!!!! 大歓声が響く。


『いや~。いい試合ですです!』

『本日最終戦を飾るに相応しい試合でした~~!! 皆さん盛大な拍手を~~!!』


 パチパチパチパチ……


(モニカは大丈夫でしょうか?)

 突っ込んだ壁へ行くと、ちょうど瓦礫から出てくるモニカと目が合いました。


「やっぱりルウは強いっす!」


 ニヘラと笑うモニカ。

 頭から結構流血しているのですが、大丈夫なのでしょうか?


「モニカ、血が……、平気なんですか?」

「ん?」 


 疑問そうに自分の頭を確認するモニカ。手にベットリとついた血液の量を見て――


「……これは、ダメっすね!」


 パタンと倒れてしまいました。


「えええええ!? ちょっ!! モニカ~~~!!」


 私は慌てて助けを呼びに走り、何とか一命を取り留めたモニカでした――


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