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推しヒロインは俺が救う  作者: 白永央はひな
《第6章》学園闘技大会編

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第39話

《アーキ視点》


『じゃあ本日の最終戦、試合開始!』


 アイナ副会長の開始の合図はありましたが――


(……隙が、ない……)


 あたしは構えたものの、どう攻めるものかと迷っていた。


「…………」


(ルウも攻めて来ないけど、あれは彼女の元々のスタイル……)

 予選の彼女を見た限り、あたしの遠距離攻撃(波動系)は恐らくきかない……。

(……なら、直接打ち込むしかない!)


 ドンッ!! あたしは地面を強く蹴って走り出す。


『お~~と!アーキ選手が動いた~~! ルウ選手の周りをグルグルと高速で回っているぞー!』

『正面から突っ込んだんじゃカウンターもらうって、思ったんだろうね~』

『速い! 速いぞ~~~!!』

(アインの話を聞いて”魔力操作”の熟練度を上げたら、あたしの”身体強化”は以前の比じゃなくなった……)


「…………」

(ルウは動いてない……。でも、背中からでも避けそう……)


「でもっ!」

(近づかないと、あたしは勝てない!!)


 高速回転の勢いのまま背面から飛び込む!


「せいっ!」「やぁ!」「っ!!」「むぅ!」


 勢いのまま殴る!蹴る!蹴る!殴る!を叩き込むが……。

(全部っ!? 当たらない!?)


 ザザーーっと、停止してルウを睨む。彼女は最初の位置から動いていなかった……。

(……これが、力の差!?)

 あたしの得意とするスピード。それも予選に比べて格段に上がったスピードでも捉えられないなんて。


「……負けない!!」


 あたしは被弾を覚悟して、正面から向き合うことを選択した。

(今あたしが出来る、最高の”身体強化”でっ!!)


 魔力を身体中に最大限巡らせる。まだ不慣れなあたしは、反動のせいか身体中に痛みが走るし、脚にピキピキと変な音が鳴るけど、気にする余裕なんて無かった。


「獣拳っ!!乱舞っ!!」


 魔力で硬度を増し、魔力で筋力を上げた剛拳の連続攻撃――


「やあああああああ!!!!」


 ヒュンッ、バシッ、ヒュンッ、バシッ…………


『アーキ選手の猛攻~~!! しかしいいいい! ルウ選手~~!避ける!往なす!避ける!往なす!! 当たらな~~い!!』

『ハハッ。これはすごいね~』


(くそおおおおおお!!!!)


 やがてあたしの連撃の限界がきた瞬間――

 身体が浮く感覚がして、

 視点がぐるりと回転した。


「え?」


 そして腹部に強い衝撃――


「っぐう!!」


 あたしは場外まで吹き飛ばされてしまった。


「…………」

(…………完敗かぁ)


 ルウさんが来て、あたしに手を差し伸べてくれる。


「いい動きでした。久しぶりにギリギリの闘いでした」


 よく見ると、彼女の手は震えていて、その言葉が本当なんだと思えた。


「……ありがとう、ございました……」 


 あたしは流れ出てしまった涙を隠したくて、彼女の手を取れなかった。


『試合終了ーーー!! 勝者!ルウ選手ううう!!』


 うおおおおおおお!!!! 大歓声が響く。


『うん。本日最後を飾るいい試合だった。みんな !二人に大きな拍手を~!』


 パチパチパチパチ……



◇ ◇ ◇

《ルウ視点》

(強敵でした……。まだ手が痺れています……)


「特に最後の連撃は、凄まじかったです……」


 一人呟きつつ闘技場を後にしました。


「お疲れ~」「お疲れ様っす!」


 控室に戻るとナミエとモニカが待っていました。


「二人ともお疲れ様です」


 ナミエが笑顔で、


「なんか~、ケイ君が今日の労いで奢ってくれるってさ!」

「お腹ペコペコっす!」


 私はそれを聞いた瞬間に――

 ぐぅ~~っとお腹が鳴ってしまいました。


「……甘い物が食べたい……」


 危ない、危ない……、涎が垂れてしまいそうです。



◇ ◇ ◇

《ケイ視点》

 今日の試合で三人の成長も見れたし、俺の理論も正しいって証明出来たしで良い日だった。


「ケイ、満足そうね?」

「そうだね。満足は出来たよ」


 姉さんは「良かったわね」と言って行ってしまった。やはり忙しいらしい。


「俺はあいつらを労ってやるかね」


 どっちに転んでも今日は労うつもりだったので、最近美味しいと評判の店を予約していたのだ。


 店に向かって歩いていると、学生たちが今日の試合の話をしているのが聞こえてきた。


「今日の一回戦は凄かったな~。特に後半!!」

「本当にそれっ! あいつら絶対に同級生じゃないよ!」

「私も同意~。セラフさんの無詠唱にもビックリだけど、ナミエって子はその上を行っちゃったもんね~」

「お前ら知らないのか? あのモニカ、ルウ、ナミエって、入試のワースト3人組だったんだぜ?」

「「「マジっ!?」」」

「マジ、マジ!凄いよなぁ。一年で一番強くなったのあの三人だろうな~」

「「「そうだね~」」」


(うんうん。俺が育てたんだぞ~)


 誰も見ていないのにドヤ顔をする俺だった……。



◇ ◇ ◇

 翌日――


「姉さん今日も時間作れたの?」

「頑張ったわ。だって、ケイと一緒に観戦したいじゃない?」

(姉さんに悶えそうだよおおおおお!!)


 でも、姉さんの目の下に少し隈ができていた。


「姉さん、あんまり無理すんなよな?」

「フフッ。ありがと。優しいわねケイ」


 まったく、この姉は……。


『さあっ! 一年生の部の二回戦も前半は終了しました! 今の所、どうですか?メルルちゃん』

『だーかーらー! ちゃん付けは止めるですっ!』


 今日の解説はメルル先輩だ。


『そうですね~。前半は~~。大番狂わせなし!です!』

(メルル先輩……、それで良いのか?)

『……そうですね~』

(ほら、リー先輩が呆れてるぞ~)

『さてっ! ここからが見どころかもしれませんよ~!? 昨日勇者パーティーを倒したダークホースたちとラフィさんが残ってますからね~』

『リーちゃんの言うダークホース三人は、三者三様というパーティーみたいです~』

『え!? マジですか? なんとおおお!新情報です! あの三人は同じパーティーだった~!』

『そういう意味でも、後半は面白そうです!』

『そうですね~。さあ、準備が出来ましたか~。メルルちゃん試合コールよろです!』

『だ・か・らっ!もういいです!』



◇ ◇ ◇

《ラフィ視点》

(アイン以外で残ったのは私だけか……)

 確かに彼女ら、三者三様は強い。

 でも――


「炎が水に勝てるのかしら?」


 私の属性は”水”。対してナミエさんは”火”。


(魔法はイメージ。果たして彼女は、私の水に勝てるイメージができるのかしら?)


『それでは! 試合開始です!』


 私たちは向かい合ったまま、魔力を瞬時に練り上げた――


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