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推しヒロインは俺が救う  作者: 白永央はひな
《第3章》ドワーフ王国編

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第15話

《アイン視点》


「俺様は反対ですよ!! 国王!!」


 大会議室に響いたアサハの声は、その場の空気を一瞬で冷やした。

 赤紫色の髪を後ろで束ね、分厚い鎧を着込んだその男――アサハ・ドワフ。

(ウリエが、若くして戦士長に就いた実力者だけど、傲慢で視線がいやらしいから嫌いって……)


「勇者パーティーだか何だか知らねーがよ――」


 アサハは鼻で笑い、僕たちを見回した。


「よそ者に国の危機を任せる理由がないよな?火焔鉱石の件は俺様たち戦士団が解決するってよ、先日の会議で決まっているのさ」


 侮蔑的な表情で語る。


「……アサハ」


 ウリエが低い声で彼を呼んだ。


「なんだ?ウリエ」


 アサハは当然のように彼女を見る。

 その視線は、ウリエの顔から下へ行き胸元を舐める様に見ていた。そのまま、他のパーティーメンバーにも同様の視線を送る。

 ウリエは寒気がして身を抱える。


「やめなよ!その目!」

「はぁ? 何がだぁ?」


 アサハは醜悪な顔でニヤニヤとしていた。


「前からそのいやらしい視線が嫌なんだよ!!」

「何言ってんだか? どうせ俺のもんになるんだから良いだろうがよ」


 ――ドン。


 重い音と共に、会議室中に強い重圧がかかる。

 全員が恐る恐る視線をレックスに向けた。


「おい、小僧共。俺の話を遮って何ピーチクパーチク言ってやがる?」


 ――沈黙


(すごい重圧だ……、全身が震えてしまう。これがレックス国王の威圧)


「……違うのです王よ」

「あ゛? 誰が話して良いと言った?」 

「……申し訳ありません」


 レックス王の威圧に顔面蒼白となったアサハは、冷や汗を流しながら頭を下げた。


「……そうだな、今回の依頼は国家存亡の大事な依頼だ……」


 レックスは全員を見渡した。


「アサハ、勇者。双方に聞こう、お前たちにとってウリエはどういう存在だ?」


 アサハは恐る恐る問う。


「……どういう意味でしょうか?」

「国家の存亡、姫の未来。国王、父、それぞれの立場から、いろいろ考えている」


 僕は一瞬だけウリエを見る。

 彼女は不安そうな顔をしていた。


「ウリエであれば俺に相応しいと思っています。流石は王のお子です。大変美しく」


 彼女の胸をチラ見して。


「文句のつけようがありません。……しいて言えば、もう少し相手を立ててくれると嬉しいですね」


 アサハはまた醜悪な顔になっていた。

 今度は僕が自分の気持ちを伝える。


「ウリエは一緒に戦う仲間だと思ってます!」


 その言葉に、ウリエの目が僅かに見開かれた。


「強いし、頼りになるし、無茶もするけど、だから背中を預けるし、預けられます!」


 ウリエに向かってウインクをする。


「ウリエに嫌って言われるまで、僕は頼るし、頼られる存在でいたいって、そう思っています!」


 レックス王は目を瞑り、微かに口元が緩んだ。

 

「よし。勝負とする」


 低く、だがよく通る声でそう告げた。

 レックス王は立ち上がり、全員を見据える。


「どちらが先に火焔鉱石の異変を解決できるかの、勝負とする!」


 ざわり、と会議室が揺れる。


「勇者パーティー、アイン」

「そして戦士団、アサハ」

「勝った方が、正式にウリエの婚約者となる権利を与える!!」

「――王命、拝命致しました」


 アサハは礼をしつつ、口元が弧を描いていた。


「全力で頑張ります!!」


 僕は元気良く答えた。答えてから……。

(……あれ?……婚約者って言った?)


 レックス王は宣言した。


「両陣営、準備に入れ――」


 

◇ ◇ ◇

《ケイ視点》

 ドワーフ王国に着いた俺は、アインたちの動向を陰からコッソリと見守っていた。


 アインたちが王国へ入る門を通った時――

「あ!門番の一人が慌てて駆けてった……、ウリエいきなり帰国バレしてんじゃん」


 アインたちがバロンと出会ってる時――

「おぉ〜、生バロンじゃん。さすが『七大聖王』の一人、めちゃくちゃ強そう。今チラっと見た?この距離で気付いたのか?」


 アインたちが馬車で護送中――

「傲慢巨乳好きアサハじゃん。あいつはマジでクズだよなぁ。早くざまぁされてしまえ!」


 そして現在――

(さすがに王城内までは行けないからな……)


「俺は俺のやるべきことをしますかね〜」


(生レックスはちょっと見たかったかも……)

 そんなことを考えながら、ドワーフ王国へ来た一番の目的の場所へ移動した。

 

 目的の場所――その名は『コットウ屋』。

 その名の通り骨董品を扱っていて、ドワーフ王国ではとても珍しい店だ。


「こんにちわ~」


 商い中という看板があったので暖簾をくぐって中へ入る。

(ドワーフ王国で暖簾って!)

 そんな心の中の突っ込みをしながら店の奥へ進んで行く。店の中は置き場狭しと様々な骨董品が並んでいた。

(これは並んでいると言っていいのか?ゴチャゴチャしすぎだろ……)

 カウンターに店主がいるが、チラ見しただけで何も言ってこない。俺個人としては、嫌いな対応じゃなかった。

(たしか、右奥の上の棚に目的の物があったはず……)

 ゴソゴソ……。


「……あった」


 俺は目的の物を手に取り、よく確認する。

(うん……、間違いないな)


 俺は大事に持った”それ”を、カウンターに持って行った。


「……これ下さい」


 店主が眼を見開く!!――そして一言。


「……あんた、わかってるね」

「ッ!!」


 俺も驚いた。

 何とか動揺を隠しつつ、店主と向き合う。

 

 店主の眼差しは「儂も一緒だ」と、そう告げていた――


 会計を終えた俺に、店主は大事そうに”それ”を包んで持たせてくれた。

 俺は笑顔で店主に手を差し出す。店主も笑顔で応じ、俺たちは熱い握手をした。


 店を出て、俺は振り返る。

(こんなところにも、同志はいたんだ……)

 

 俺は“小さな胸の女神像“を大事に抱え、一度宿に帰るのだった――


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