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推しヒロインは俺が救う  作者: 白永央はひな
《第2章》学園入学編

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第10話

 ついに始まった、ゲームストーリー。


 【The hero saves the world with love】のメインステージは、エイユウ学園だ。


 エイユウ学園の理念――

 魔王へ対抗するための力を育てるため、

 力あるものを募集し未来の英雄を育てる。

 ここは、完全実力主義の英雄育成機関である。


「ゲームだと冒頭にバーンって、この文言が出るんだよな~」


(この重要機関は、エルドラド王国王都の約三分の一を占める広大な敷地があって、エルドラド王都内にあるのに世界連合機関と称して、独立した治外法権とか……)


 学園内では王族や貴族も関係なく、ただ実力のみが上下関係を決めている。

(形だけではなくて実践されているのは、すごいと思う)

 それがまかり通るのは、偏に学園長の存在が大きな理由だ。


 壇上で挨拶をしている美女を見る――ミネルバ・フォレスター学園長。


(やっぱりすごいオーラだ……)


 年齢不詳(たしか967歳)だが、魅惑的な美女エルフだ。

 長命種であるエルフの中でも最強――

 レベルも97の『七大聖王』だ。

 『七大聖王』とは、世界の最強七人への称号だ。


 そんな学園長を視て、俺は思う――


(――まだ勝てないかもな……)


 さすが、現在の『七大聖王』筆頭であった。



◇ ◇ ◇

 入学式が終わり、ざわめきに満ちていた大講堂が少しずつ落ち着きを取り戻していく。

 俺はアインに捕まり、正ヒロインたちを紹介されていた……。


「お疲れ様ケイ。約束通り紹介するね」

「お疲れアイン。俺から自己紹介するよ。ケイ・ツクヨミです。これからよろしく」


 俺は無難にペコリと頭を下げる。


「みんなにはちょっと話したけど、辺境のイセ村で一緒に育った幼馴染なんだ」


 アインが良い笑顔で紹介してくれているが、”幼馴染”あたりでラフィの顔が歪んだのを俺は見逃さなかった……。

(もう少し気を使ってあげてね、アイン……)


「では私から、ミカエラ・エルドラドだよ。エルドラド王国第一王女だけど、この学園で王族ということを全面に出したりはしないから、気軽に話しかけてほしい」

(おぉ~、金髪翡翠眼がキラキラと……。まだ固い感じだね~)ペコリ。


「次は私が、エル・ガブリエッタです。シルク神聖国から来ました。どうぞよろしくお願いします」

(マジモンのピンク髪とかピンクの瞳って……、こんな感じなんだ……)ペコリ。


「私はジパン辺境伯令嬢、ラフィ・ジパンよ。あなたが噂のケイなのね……」

(青髪青目のツンデレさん来たー! アインは取らないからね……)ペコリ。


「あたいの番だね、あたいはウリエ・ドワフ。ドワーフだよ!よろしくね!」

(紫髪に茶色の瞳で元気な子!って感じだね。自分でドワーフだよって……)ペコリ。


「わたしはぁ、セラフ・フォレスター、エルフです。よろしくお願いしますねぇ」

(金髪翠眼のエロフ……、違ったエルフ。ドジっ子エルフさん……)ペコリ。


「……アーキ・ビースト、猫獣人。……よろしく」

(黒髪赤目のケモ耳さん。初めから警戒されてるなぁ……)ペコリ。


「みんなでパーティー組みたいねって話してたんだ! ケイも一緒にどうかな?」

(やっぱり正ヒロインだけあって、ビジュアルがみんな良いな~)


「ケイ、聞いてる?」

「ん?あぁ、それは難しいよアイン」


 え!?なんで?という顔をアインがしている。


「お前と組むのが嫌なんじゃないんだよ、パーティーは最大七人だって知ってるか?」

(人数制限なくても、組まないけどな……)


 再び、え!?という顔をする。

(たまに抜けてるよなアイン……)


「一緒のパーティーにはなれなくても、どこかで一緒に活動する時もあるさ」

「そ、そうだね……」

「じゃぁ、お互い頑張って強くなろうぜ」

「……ああ」

「またな!」


 寂しそうな顔のアインと、拳と拳をコンッと合わせて別れる。

(大丈夫、お前ならやれるさ――)


 俺は振り返らずに歩き出した。



◇ ◇ ◇

《アイン視点》

(そういえばパーティーは七人までって説明で言っていたな……)

 

 僕は少し寂しい気持ちになり、歩いて行ったケイの後ろ姿を見つめていた。

 その横で女子たちがコソコソと話していて――


『ねえねえさっきの子、なんか普通の子たちと反応が違ったね?』

『不思議な雰囲気な方でしたね……、余裕がある感じでしょうか?』

『そうね、なんか堂々?いや興味がなさそう?みたいな?』

『だいたいの子たちが、私たちと話す時ってなんか興奮気味?緊張気味?だもんね』

『……良い人っぽい気配がした』

『新鮮な反応だったですぅ。あまり胸を見られませんでしたぁ』

 

 全員が顔を見合わせて――


『『『『『それだ!』』』』』



◇ ◇ ◇

《ケイ視点》


「クシュンッ!」

(誰か俺の話をしているのか?……いや、俺はモブだからないか……)


 さすがのヒロイン力だった彼女たち。生で見ると破壊力が違ったと思う。

 でも――実に惜しい……。

 俺は、小さめな胸の女の子が好きで、巨乳は好きではないのだ。


 なぜか?その理由は――

 俺の推しヒロインはみんな小さめの胸だからだ。


(もちろん胸ばかりで判断したわけではない! ビジュアルも大好きだ。彼女たちの性格も大好きだし、何というかバランスも良い!! それに小さい胸がコンプレックスだったり、それに対する反応だったりが、もう可愛くて可愛くて仕方がないのだ!!)


 そんな誰に伝えているのか分からない性癖をグルグルと考えながら、推しヒロインたちを必ず救うというやる気に燃料を投下するのであった――



◇ ◇ ◇

 俺は一通り学園を回って堪能したので、自分の部屋へ戻りながらカリキュラムと迷宮について考えていた。

 学園のカリキュラムは選択制で、完全実力主義というだけあって講義はどれもレベルが高い。戦闘訓練から魔法や戦術講義、実地演習なんかもある。

 

 そして極めつけは――

 学園専有の“迷宮“、世界最大の迷宮である【深淵迷宮】。


 難易度が最高難度だが、だからこそレベル上げという面ではここ以上の場所は無い。この迷宮に挑戦できるだけで、エイユウ学園に入学する意味があると言える。


「……楽しみだぜっ!」


 自分の実力がどこまで通用するのか考えるだけで、ワクワクが止まらないと思いながら学生寮に到着した。そして、自室のドアを開けると――


「おかえり!ケイ!」


 目の前にはニコニコのアインが立っていた。


「……あぁ、よろしくな」


 さっきの別れは何だったのか……、ちょっと一人で恥ずかしい気持ちになってしまった。


(でも、まあね……)

 

 アインと同室なら楽しくなりそうだ――


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