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裏切りの庭、黄金色の別れ
そんな私の前に現れたのが、栗色の髪の少女、クリスティだった。
「レイシア様、見てください! お庭のミモザが満開です!」
見渡す限りの黄色い絨毯。
黄金の泡が弾けたような、圧倒的なまでの春の輝き。
「今日は天気がいいですし、このミモザの木の下でお庭番をしましょう!」
あの子と過ごす時間は、柔らかくて、温かくて、触れれば壊れてしまいそうなほど繊細だった。
けれど、あの子もまた裏切り者だった。
「お姉様は……私を信じてくれますよね?」
震える声で縋るクリスティに、私は微笑んで頷いた。
そして、最後の瞬間にその手を振り払った。
ミモザの枝が風に揺れ、黄色い花粉が私たちの間に幕を引く。
「ごめんなさい、クリスティ。助けられないわ。あなたのしたこと、知っているもの」
真珠のような涙が落ちるのを見ながら、私はもう誰も信じないと、そう決めたはずだった。
しばらくぶりに出席した王宮の夜会。
「レティシア・シルビィス伯爵令嬢。貴様との婚約を破棄する」
翡翠の瞳を持つ令嬢は、静かに頭を下げた。その姿が、かつての私と重なった。
「それならばレティシア嬢。ミネルビア魔法学院に入りませんか?」
そう告げて、私はレティシアを空へ連れ出した。




