前に進む者たち
昨日投稿した話ですが何を思ったのか削除しました、
見た方すみません
20話以降の修正ばっかりしてて序盤全然修正できてない()
朝。
まだ空気の冷たさが地面の奥に残っている時間だった。太陽はすでに上がり始めているのに、村の中だけは取り残されたように静かで重い。
ガルドの家の前には、すでに人が集まっていた。
昨日より多い。それは単純な人数の増加ではなく、“圧”だった。痩せた顔、乾いた唇、落ちくぼんだ目。そのすべてが同じ方向を向き、ただ一点だけを見ている。
ユウは扉の内側からその気配を感じていた。音ははっきり聞こえないのに、人が増えていることだけは分かる。
(……やっぱりこうなるか)
一度「ある」と知られたものは、希望ではなく“目標”になる。放っておけば、当然こうなる。
ガルドがゆっくりと扉の前に立つ。しばらく黙ったあと、短く息を吐き、手をかけた。
軋む音とともに扉が開く。
外の冷気と一緒に、視線が一斉に流れ込んできた。
誰もが口を開きかけているのに、最初の一言だけが出ない。その一瞬の沈黙を、ガルドが切った。
「……もう、ここに来るのはやめろ。何も渡すつもりもねぇ」
はっきりとした声だった。
その瞬間、空気が一度止まる。
そして――崩れる。
「ふざけるな!」
「最初からやる気なんかなかったのかよ!」
「期待させるだけさせて切るのか!」
一気に声が重なる。理屈ではなく、感情だけが前に出る。
ユウはその中へ、一歩だけ踏み出した。小さな体なのに、その動きだけで自然と視線が集まる。
少しだけ間を置いてから、静かに口を開いた。
「ここで分けるつもりはない。欲しいなら、一緒に森に入れ」
ざわつきが一瞬だけ弱まる。
ユウは続ける。
「草の見分け方も罠の作り方も、全部教える」
一度視線を流す。
「ただし簡単じゃない。危険だし、怪我もする。運が悪ければ帰ってこれない」
その言葉で空気の重さが変わる。
要求から現実へと、認識が切り替わっていく沈黙だった。
「それでもやるやつだけ来ればいい。やらないやつには教えない」
一瞬の静寂。
そしてすぐに怒鳴り声が飛ぶ。
「ガキが偉そうに言ってんじゃねぇ!」
だがユウは動かない。声の調子も変えない。
「なら来なくていい」
即答だった。
「無理に来られても困るし、文句だけ言うやつに教える気もない」
その一言で、場の空気がさらに沈む。
ガルドが一歩前に出る。それだけで空気が変わった。
「命張れるやつだけ来い。できねぇなら、ここにいても意味はねぇ」
短い言葉。それ以上の説明はなかった。
しばらくの沈黙のあと、最初に手を挙げたのはレインだった。
「……俺は行く。このまま待ってても何も変わらねぇだろ」
その一言で空気がわずかに動く。
「俺も行く」
「怖ぇけど……何もしねぇよりマシだ」
ぽつり、ぽつりと手が上がる。
最終的に残ったのは六人。ガルドとユウを含めて八人。それ以外は動かなかった。
「……好きにしろ」
誰かが吐き捨てる。
「どうせ死ぬだけだ」
その言葉で、はっきりと分かれた。
もう、同じ場所には戻れなかった。
---
森に入ると、空気が一段重くなる。
足元の土は柔らかく、踏み込むたびに沈む。視界は開けているのに、圧迫感だけがまとわりつく。
「うわっ!」
最初に崩れたのは一人だった。足を取られて膝をつき、そのまま泥に手をつく。
「大丈夫か」
レインがすぐに手を伸ばす。
「……悪い、思ったより足場が悪いな」
呼吸が少し乱れている。恐怖というより環境に慣れていないだけだった。
ユウはしゃがみ、足元の草を見る。
【影縁草】
・食用不可
・栄養価:なし
・毒性:中(摂取後、神経麻痺・嘔吐)
・効果:なし
「それには触らないで。見た目は似てるけど毒だ」
「いや、分かるわけねぇだろ。全部同じに見える」
戸惑い混じりの声。
ユウは短く息を吐く。
「最初はみんなそうだ。俺もそうだった」
それだけ言って別の草を抜く。
「こっちが食えるやつ。葉の裏の色が違う。それを覚えて」
ガルドは周囲を見回しながら言う。
「獣を狙うのはまだ早い。まずは無事に帰ることだけ考えろ。それができねぇうちは話にならねぇ」
誰も反論しない。ただその言葉だけが落ちる。
時間が経つにつれ、動きに変化が出始める。
「……これ、本当に食えるのか?」
「昨日俺も食ったが、ほら見ての通りだ。今ここに立ってる時点で問題ねぇよ」
短いが、重い言葉だった。
その一言で、ためらいが一段下がる。
恐る恐るだった手が、少しだけ迷いなく動くようになる。
完全に理解したわけじゃない。
それでも――“分からないまま触っていた状態”からは、確実に抜け出していた。
---
夕方。
「……おい、かかってるぞ」
低い声に、全員の動きが止まる。
仕掛けた罠の一つが、草の中でわずかに揺れていた。
慎重に近づく。足音を殺しながら、囲むように距離を詰める。
罠にかかっていたのは、手のひらより少し大きい程度の小獣だった。後ろ脚を締められ、必死にもがいている。
その動きに、一瞬だけ全員が固まった。
誰も手を出さない。
どう扱えばいいのか、分かっていない沈黙だった。
「……押さえろ。暴れさせるな」
ガルドが短く言う。
レインが一歩前に出て、躊躇いながらも獣の体を押さえ込む。細い腕に力が入り、歯を食いしばる。
「っ……思ったより力あるぞ、これ……」
「首だ。そこを締めろ。無駄に暴れさせるな」
言われた通りに手を動かす。
しばらくして、動きが止まった。
静寂が落ちる。
「……本当に、取れるんだな」
誰かが呟く。
それは驚きというより、現実を飲み込んだ声だった。
その日を境に、少しずつ変わっていく。
最初は罠を仕掛けるだけで時間がかかっていたが、次第に手が止まらなくなる。枝の選び方、縄の締め方、踏み固める土の位置――無駄が減っていく。
「ああ、そこは浅い。もっと踏め。匂いを残すな」
ガルドの声が飛ぶ。
言われる前に動けるようになる者も出てきた。
転ぶ回数は減り、森の中で立ち止まる時間も短くなる。足場を見る目が変わっていた。
獲物が罠にかかる数も、わずかに増える。
「……よし、二匹目だ」
小さく息が漏れる。
昨日は一つだけだった。
それでも十分だったのに、今日は違う。
「……悪くねぇな」
ガルドがぽつりと言う。
レインは汗を拭いながら、苦く笑った。
「最初は無理だと思ったけどよ……やってみりゃ、なんとかなるもんだな」
ユウは少し離れた場所で、その様子を見ていた。
(……回り始めたな)
まだ不安定だ。
失敗すればすぐに崩れる。
それでも――
止まっていたものが、確かに動き始めていた。
<現在のステータス>
――――――――
【ステータス】
名前:ユウ
年齢:8歳
HP:31/ 31
MP:10/ 10
筋力:5
耐久:3
敏捷:5
知力:7
所持スキル
・採取 Lv1
→ 森林環境での素材・食料・薬草の識別能力。毒草と有用植物の判別も可能。
・格闘 Lv1
→ 素手戦闘の基礎。押す・掴む・倒すなどの初歩的戦闘動作補助。
・即時回復 Lv1
→ MPを約50%消費し、HPを約50%回復する緊急回復スキル。一日一回のみ使用可能で、MPが不足している場合は発動できない。
・解体 Lv1
→ 動物・魔物・物体の構造理解と効率的な分解技術。素材ロスを抑える。
・罠設置 Lv1(NEW)
→ 簡易トラップ・捕獲罠の設置技術。
固有能力
・窮地適応
→ 生命の危機、または極度の環境ストレス下において、生存に必要なスキルを獲得する。
まだ11話????少なくともあと5話文投稿しないと




