表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

求める声

序盤の修正が難しい、、早く中盤まで持っていきたい、

もう少し内容修正すればよかったですね、、


評価押してくださってありがとうございます!


翌朝。


まだ日が完全に昇りきる前の、冷気の残る時間だった。薄い光が窓の隙間から差し込み、部屋の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせている。


ユウはその光の中で目を覚ました。体は重いが、昨日よりは確実に動く。筋肉の奥に残る鈍い痛みが、「まだ動ける」という感覚だけを妙に際立たせていた。


(……筋肉痛か。でも、動けないほどじゃないな)


そんなことを考えた直後だった。


コン、コン。


外から乾いた音が響く。朝の静けさには似つかわしくない、遠慮のない叩き方だった。


ガルドはすでに起きていた。火の前で一度だけ息を吐き、低く呟く。


「……来たか。まあ、そうなるよな」


驚きはない。むしろ最初から想定していたような声音だった。


「ユウ、覚えとけ。これから増えるぞ」


そう言って立ち上がり、扉へ向かう。その足取りに迷いはない。


扉を開けると、見知らぬ男が立っていた。


痩せているというより、削ぎ落とされたような体つき。頬はこけ、目だけが異様にぎらついている。


「……頼む」


開口一番、それだけだった。


「肉を少しでいい。ほんの一口でいいんだ。昨日、持って帰ってただろ。見てたやつがいる」


ガルドは一度だけ目を細め、静かに返す。


「悪いがもうねぇ。昨日で使い切った。うちも余裕はない」


男の表情が歪む。すぐには引かず、一歩踏み込んだ。


「そんなわけねぇだろ。あの量が一日で消えるかよ。隠してるんじゃねぇのか」


焦りと苛立ちが混ざった声だった。


ガルドは声を荒げないまま、はっきりと言い切る。


「疑うのは勝手だが、出せるもんはない。帰ってくれ」


短い沈黙。


やがて男は舌打ちし、背を向ける。


「……結局、自分らだけかよ」


吐き捨てるように言い残し、そのまま去っていった。


扉を閉めたあと、ガルドは小さく息を吐く。


「一人じゃ終わらねぇぞ、これ」


視線は扉の向こうに向けられたまま、そう続ける。



ーーーー


昼。


今度は女が来た。顔色は悪く、声は震えている。


「お願いします……ほんの少しでいいんです。子どもが熱を出してて、水しか飲めなくて……このままだと……」


言葉は途中で崩れ、それでも必死に繋ぎ直される。


ガルドは視線を逸らさずに答えた。


「悪い。分けてやりたいが、うちも同じだ。昨日でほとんど残ってない」


「……一口でいいんです。それだけでも,,,」


「分かってる。だが無理だ」


短く、変わらない声だった。


しばらくの沈黙のあと、女は小さく頭を下げて去っていった。


夕方には二人組が来た。


最初から遠慮はなく、扉を叩く音も強いまま間を置かずにもう一度響き、ガルドが開けると、細い男が一歩前に出て早口に言った。


「頼む……少しでいいんだ。肉、分けてくれないか」


だがその言葉が終わる前に、隣の男が苛立ったように舌打ちを挟む。


「どうせ余ってんだろ。少しくらい回せって言ってんだよ」


空気が一瞬で張り詰める中、細い男がすぐに口を挟む。


「おい、そういう言い方じゃ――」


だが遮るように言い返される。


「同じだろ。遠回しに言ったって意味ねぇ。」


視線が鋭くなる。


「こっちは朝から何も食ってねぇんだよ。分かってんのか?」


細い男はそれ以上強く言えずに口を閉じるが、引くこともできず、わずかに視線を落としたまま小さく続ける。


「……頼む。ほんの少しでいい」


最初の言葉に戻っているはずなのに、その響きはもう懇願だけではなく、どこか押しつけるような重さを帯びていた。


ガルドは二人を見たまま、間を置かずに言う。


「悪いが無理だ」


それだけで場が止まる。


「……は?」


苛立った男の声が低く落ちる。


一歩踏み出す。


「無理ってなんだよ。少しぐらい残ってんだろ」


言葉を重ね、距離を詰める。


だが――ガルドは一歩も引かない。


「出せるもんはねぇ」


ただ、それだけを返す。


沈黙が落ちる。


二人の間で視線が揺れ、押すか引くかを測るような一瞬の停滞のあと、苛立った男が舌打ちを鳴らす。


「……っち、話になんねぇな」


吐き捨てる。


それでもすぐには動かない。


ほんのわずかに踏みとどまる。


その横で、細い男が小さく言う。


「……行こう」


諦めきれていない声だったが、それでもここではどうにもならないと分かっている響きだった。


やがて二人はようやく背を向ける。


去り際、苛立った方が低く呟く。


「……覚えとけよ」


その言葉だけを残し、足音が遠ざかっていった。



夜が近づく頃、扉の外には人の気配が残り始めていた。


帰らない。離れない。ただそこに留まり、家の中をうかがっている。


その沈黙が、じわじわと空気の重さを増していく。


その中で、エナが静かに口を開いた。


「ねえ……ほんの少しだけでも、分けてあげるのは無理なの?」


責める声ではない。ただ確かめるような声音だった。


ガルドは即座に首を振る。


「分けたところで足りねぇ。全員で削り合って終わるだけだ」


一拍置いて続ける。


「それに量が足りねぇ。分けても意味がねぇ」


エナは言葉を失う。


そのとき、ユウが口を開いた。


「……分けるんじゃなくてさ」


視線が集まる。


沈黙の中で、空気だけがわずかに重く沈んだ。


「取りに行く方法、教えた方がいい」


ユウの言葉は短かったが、その場の空気を一段変えるには十分だった。


ガルドが眉をひそめる。


「簡単に言うな。昨日どうなったか忘れたのか。死にかけたんだぞ」


「忘れてない。でも生きて帰ってきたし、肉も持って帰れた」


そのあと、沈黙が落ちる。


火が、ぱち、と小さく弾けた。


「やり方さえ分かれば、自分たちで肉を確保できるようになる」


理屈は通っている。

だが、それがそのまま“安全”を意味しないことも、全員が分かっていた。


ガルドは黙る。


外から声が混ざる。


「頼むよ……!」


「子どもがいるんだ……!」


扉の外。帰らない人間の気配が、じわじわと濃くなっていく。


その声を聞きながら、ユウはもう一度口を開いた。


「……全員は無理だけど。危ないの分かってて、それでも行くやつだけでいい」


ガルドが低く問い返す。


「……線を引くってことか」


ユウは小さく頷く。


「うん」


それだけだった。


その瞬間、エナが小さく息を吐いた。


「……選ぶしかないのね」


その声は責めてはいない。ただ現実を言葉にしただけだった。


ガルドは顔をしかめる。


「……嫌な役だな」


その言葉に、ユウは一瞬だけ間を置く。


外の声はまだ続いている。止まらない。消えない。


その音を背にしながら、ユウは言い切った。


「……このままだと、みんなじわじわ死ぬだけだ」


静かだった。


反論は出なかった。


否定できるだけの“別の現実”が、誰にもなかった。


外では、まだ声が続いている。

中盤〜後半の方が設定とか内容がしっかりしてるので、そっちを早く出したいです。序盤は成長が遅めなので、ちょっと退屈に感じるかもしれません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ