第35話 猫は人間の生活に興味ないみたい
自分が精霊だと知ってから、しばらく経ったけど、なーんにも変わりませんねー。
もっとこう、もの凄い魔法が使えるようになるとか、何か壮大な使命を得るとかあると思ってたけどなーんにもない。
平和そのものですなー。
だから、今日も今日とて街のお散歩です!
噴水広場まで来ると、今日はいつもより賑やかだった。
「人が多くて下は歩きにくいなあ。よっと。」
広場から少し離れた建物の屋根へと飛び乗る。
「あっ、コトラさん!」
「おーう、オヴィ。おはよう。」
珍しく屋根の上で寝ていたコトラさんを発見した。
「おっはよー!今日はいつもより人が沢山いるね。何かあるのかな?」
「あれだよ、あれ!」
コトラさんの視線の先には、なんだか変わった格好をした人がいた。
「ピエロ?」
「お、オヴィ物知りだな!あいつ何年か前にもこの街に来ててよー。サーカス?つうところのピエロっていうやつらしいぜ!」
カラフルなアフロヘアに派手な化粧と服装。そんなピエロは風船と一緒にチラシか何かを、噴水の前で人々に配っている。
「面白そうだねっ!コトラさんはサーカス見たことあるの?」
「いいや。興味ないからなー。」
「ええー、そうなのー?勿体ないなー。」
「前のときは、街の外れの方でやってたみたいだぞ。興味があるなら、見に行ってみたらどうだ?」
「くーっ!興奮してきたっ!行ってみる!そうだブランシュさんも誘ってみよーっと!」
そのまま屋根を伝って、おじいさんの家へ向かう。
「じゃあ、まったねーコトラさん!」
コトラは、たったか走って行くオヴィを見送る。
「ブランシュのアニキもたぶん興味ないだろうな。つーか、オヴィは人間に興味津々だなー。やっぱ変わってるな。俺も人間は好きだけど、別に人間の生活には興味ないもん。」
それからまた、ごろりと寝転んで二度寝するのだった。
「ブランシュさん!ブランシュさん!一緒にサーカスを見に行こうよっ!」
おじいさんさん家の裏庭で寛ぐブランシュさんに、唐突に話しかける。
「なんだよ、いきなり。」
「今、街にサーカスが来てるんだって!一緒に見に行こうよー!」
「ん、ああ?前にも来てたやつか。」
「たぶんそれ!行こうブランシュさん。」
「興味ない。」
「ええーー。絶対面白いのにー。」
「人が多いところは好きじゃねぇんだ。」
ブランシュさんに言い聞かせるように言われる。
「うう、わかったよう。いいもーん、一人で行って楽しんじゃうから。」
サーカスが来ているという、街の外れに向かおうとして、ちらりとブランシュさんを振り返る。
「本当に一人で行っちゃうよー?」
ブランシュさんは、早く行けと言わんばかりに尻尾を振った。
「もう!猫はサーカスに興味ないのー?そうだっ!妖精さん達を誘ってみよう!!」
ひゃっほーい、と祭壇まで走って行く。
祭壇へ向かう途中で、アランやリリーちゃんの様子でも見ようと、孤児院に寄ってみることにした。
孤児院までくると丁度、アランが手に籠を持ってこちらへ歩いてくる。
「アラーンっ!何してるのー?」
アランはしゃがんで私を撫でる。
「一緒に来るかい?」
アランは小声でそう言うと、すたすたと先に歩いていく。
「うん。どこに行こうとしてるの?」
アランは何も答えずに、ピッと小さく前方を指差した。アランが指差した先には林がある。
「ええ、アランは林に行くの!?」
どうしようかなー。あれ以来、林には近寄ってないのに。…でも、アランも一緒だし大丈夫だよね!
そう考え、ちょこちょことアランの後ろをついていった。
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