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第21話 林

「はぁっはぁ、やっと着いた。」


街を抜けて少し離れた所に、あの日屋根の上から見た林があった。

日が暮れるまでには街の中心地に帰りたかったので、ここまで全速力で走ってきてしまった。

そのおかげで、まだ朝の内に林の前までやって来ることが出来た。


「疲れたよー。ちょっと休憩。」


ぺしゃりと地面にへたりこむみ、その体勢のまま林を観察してみる。


普通の林だね。よいしょっと。


起き上がって、更に林に近付いてみる。


「もっとおっかないかと思ってたけど、全然そんなこと無いね。」


久し振りに立ち並ぶ木々を見て、懐かしい気持ちになり林の中に入っていく。


「うわー、気持ちいいなー。」


久々に木洩れ日の中を歩き、清々しさを感じていると、なんだか小腹がすいてくる。


そういえば、朝からジャーキーしか食べてなかった。


くんくん、何か食べられそうなもの無いかな。


鼻をひくつかせながら、林の中を進んでいく。


「おいっ!ちび!何してやがる!」


ビクッ


「ひゃあっ!?」


後ろからいきなり話しかけられ、驚いて体ごと飛び跳ねる。


もしかして、ブランシュさんの言っていた危険なモグラかも。恐る恐る振り返る。

そこには、小さな丸い耳に、目のまわりが黒い顔、伸びた鼻先にずんぐりとした丸い体。


「いや、狸じゃんっ!」


「なんだてめー。文句あんのかっ!」


「わーないです、ないです!ごめんなさい。」


「どうした兄弟。」


すると今度は茂みの中から狸と似た顔をした尻尾に縞模様のある生き物が現れる。


「アライグマ?」


尻尾に縞模様があるのがアライグマで、無いのが狸。こうして見比べると分かりやすい。勉強になるなあ。うんうん。

あ、私の尻尾の縞模様は虎柄ですからね。虎リスペクトですから。


狸さんとアライグマさんがジロジロとこちらを見てくる。


「こいつ猫か?」


アライグマさんが狸さんに聞く。


「たぶんな。このちび、耳は丸いし尻尾も短いが、顔付きからして猫だ。」


そういうとふたりは私を睨み付けてくる。


「何で猫なんかがここにいやがる。」


「知らねえよ。おいっちび!てめー何しにここに来やがった!」


「あ、た、探検しに。」


「探検だぁ?猫共は気楽なもんだなあっ!」


「さっさとこの林から出ていきやがれ。」


二人から詰め寄られてパニックになった私は、思わず林の奥へと走り出してしまった。


「ごめんなさーいっ!」


「あってめー!」


「おいっ!そっちじゃねえだろ!」



ひえーどうしてこんなに嫌われてるの?

ちらりと後ろを振り返ると、ふたりが追ってきていた。


「わー勝手に林に入ってごめんなさーい。」


転げ回り、泥だらけになりながら走り続けていると、いつの間にか林を抜けていた。


後ろを確認すれば、ふたりはもう追い掛けて来てはいなかった。


ホッとしながらも、とぼとぼと歩いていると、知らぬ間に街を囲う石壁に突き当たる。


キョロキョロと辺りを見舞わしてみてもひとっこひとり見当たらない。


林の方角を見て思わず溜め息を吐く。


「うーん。迂回しよっ!」


大分遠回りになるけど、また林を通るよりましだ。


「ちゃんと、ブランシュさんの言うこと聞いておけばよかったなー。でも、モグラなんていなかったけどなー。だけど代わりに怖い狸さんとアライグマさんがいましたよー。」


心細さを紛らわせるためか、ついつい独り言が大きくなる。


石壁に沿って歩き続けていると、どこからか子供たちの声が聞こえてくる。





ありがとうございました。

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