第20話 コトラさんは弟分
「それはそうと、今日はひとりか?」
「うん。昨日は画家さんのお家で寝たの。でもブランシュさんはモデルをしたら、すぐ帰っちゃったから。だから、今日はひとりなの。」
あれからよくブランシュさんと行動しているけれど、いつも一緒ってわけじゃない。ブランシュさんは日向ぼっこするのが好きで、骨董屋のおじいさん家や、お気に入りの場所でよくお昼寝をしている。私もお昼寝はするけど、まだまだ街を冒険したりないから、最近の昼間は別行動が多いかも。
「くく、ブランシュの兄貴がモデル。兄貴も大変だなー。」
コトラさんがお腹を抱えて転げ回る。
コトラさんはブランシュさんを兄貴と呼ぶ。私が街に来るまでは、コトラさんが1番小さくて皆の弟分だったみたい。コトラさんにとって私は、初めての妹分らしい。
私からしたら、コトラさんはお調子者の弟分なんだけとね。
「ふー。面白かった。ところで、オヴィはこれから何すんだ?」
「今日は冒険するのっ!」
「今日も、だろ。ただ街を歩くのがそんな楽しいかね?くあぁ。」
コトラさんは噴水の縁に寝転びながら、欠伸をする。
「楽しいよ!毎日いろんな発見があってワクワクするもん。コトラさんは今日は何するの?」
「うーん、とりあえず今から昼寝だな。」
「まだ朝だよ。」
「んじゃ朝寝。」
「こんな人通りの多い所じゃ寝づらくない?」
「いんや、全く。ここは日当たりもいいし、たまに人が撫でていくから気持ちいいし、最高だぜ!」
そう言いながら、ごろんと本格的に寝る体勢になる。
コトラさんは人間が好きなんだね。
「じゃあ私もう行くね。またねコトラさん。」
「またなー。」
コトラさんはうつ伏せに寝転んだ状態で、尻尾の先をふりふりと振った。
街をとことこ歩いていると、ふと時計塔よりも向こうには行ったことがないなと思い至る。
「何で行ったことがないんだっけ。」
今までは森側の街の端から中心街までが行動範囲で、それより先には行ったことがなかった。
何故そうだったのか、じっくり思い出してみる。
うーん。あっ!そうだ、ブランシュさんが言ってたんだ。
あれはこの街に来て数日が経った頃。
「ねぇねぇ、あれ何?ブランシュさん。」
今日もブランシュさんに街を案内してもらっている。屋根の上で休憩がてら、街全体を眺めていると、時計塔の向こう側、街の端の方に小さな林らしきものが見えた。
「あー、あそこには行くんじゃねぇ。」
「何で?」
「あそこにはモグラがいるんだ。お前は危ないから、近付くな。」
もぐらってあのもぐら?
うーん、よくわからないけど。
「わかった!」
ってそれから近付かなかったんだっけ。
この街に来て数週間、今や街歩きマスターと言っても過言ではない。街歩きマスターに死角があってはならないのだ!
ってことで、ごめんねブランシュさん。ちょっと見て直ぐ帰ってくるからさ!
「ひゃほー!冒険だーい!」
林のある方へ身を翻し、たったかと走り出した。
今回で20話目ですね。
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