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第19話 ねこねどこどこ

ちなみに仮の寝床なら2つほど見つけてある。

1つ目は、街の端の方にある大きな木の虚の中。ただ寝てたら、たまにだけど隣に梟さんっぽい生き物がやって来て、一緒に眠りだすんだよね。もしかしたら、その梟さんのお家なのかも。


2つ目は、ボサボサ頭の画家さんのお家の庭。

画家さんは、貴族の依頼で肖像画を描いているんだけど、今は肖像画の中に猫を描くのが流行っているらしくて、そのモデルをブランシュさんにお願いしたいんだって。ブランシュさん美猫だもんね。

だけどブランシュさんは、面倒だとか言ってあんまりやりたがらなくて、よく捕まらないように逃げてたの。

でもこの間私と一緒にいるときに、私が先に捕まってしまって、ブランシュさんは渋々モデルを引き受けることになったんだ。それからは、たまにご飯を貰うついでだけど、モデルになってあげてるんだよ。私も一緒に行って、ご相伴にあずからせて頂いております!


画家さんは、私を手懐ければブランシュさんが来てくれると思っているのか、自宅の庭の隅にふかふかの大きなクッションを用意してくれているんだ。顔を見せたらおやつもくれるし。

豪華なご飯もくれるし、何がそんなに嫌なのかブランシュさんに聞いてみたら



「ジロジロ見られるのは好きじゃねぇ。」


ということらしいです。


そんなこんなで、今日は画家さんのお家の庭で寝ていました。


うーん、お肉屋さんに行ってみようかな!朝ごはん、まだあるといいけど。


もう一度伸びをしてから、とっとこ走って庭を出て行った。





お肉屋さんの前までやって来る。

既にお店の開店時間を過ぎていたようで、店の前にはお客さんが並んでいた。


「あーん。遅かったかー。」


がっくりと座りこむと、お店の中から声がした。


「おお、まるっこ。今日は間に合わ無かったんだなあ。」


お客さんが途切れたのか、体が大きくて髭もじゃの熊みたいなおじさんが、私の近くにしゃがんで話しかけてくる。


お肉屋のおじさんは私を、まるっこと呼ぶ。ちなみにブランシュさんは美人さんと呼ばれている。ぷぷ。


「相変わらず小さいなあ。ほら、他の猫には内緒だぞ。」


そう言って、手作りのジャーキーをひと切れくれる。


「おじさん!ありがとー。」


私がジャーキーを咥えたところで、お店にお客さんがやってくる。


「おっと、じゃあな。しっかり食ってでかくなれよ!」


おじさんがお店に戻って行くのを見送ってから、ジャーキーを咥えたまま、噴水のある広場まで歩いて行った。


広場の近くには朝市が立っていたが、朝早くということもあり、噴水の回りにいる人は少なかった。


「よいしょっと。」


噴水の水に、朝日が反射してキラキラ光る光景が気に入っていて、おやつを貰えた日はよくここに来るようになった。


中々噛み切れないジャーキーを、あむあむと食んでいると声をかけられる。


「よう、オヴィ!いいもん食ってんな。」


そう話しかけてきたのは、茶色い虎柄の猫だ。


「コトラさん!朝ごはんの帰り?」


「おう。オヴィはまた肉屋でジャーキー貰ったのか?いいなあ、俺にもちょっと頂戴。」


コトラさんはこの辺に寝床がある野良猫だ。噴水広場に来ると、よく顔を会わせるので仲良くなった。


「いいよー。はいどうぞ。」


「ありがとう!」


お礼を言うと、ブチブチっと音をたててジャーキーを半分以上噛み千切った。


「うんめぇー!」


「ああーっ!それ全然ちょっとじゃないよーっ!」


「へへへ、わりぃわりぃ。」


頭を私に擦り付けながら謝ってくる。その様子が可愛いらしくて、すぐに許してしまう。


「もうっ!この世渡り上手め。」


ブランシュさんは兄貴分って感じだけど、コトラさんは弟分で感じ。年上だけど。


残りは流石に取られまいと、ジャーキーを急いで口に入れた。





ありがとうございました。

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