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第11話 骨董屋のおじいさん

「でも、どんな名前にしたらいいのかな。」


「好きにつけりゃいいさ。」


ブランシュさんは軽い調子で答える。だが、これといって全く頭に浮かばない。



「因みに、ブランシュさんの名前の由来を聞いてもいい?」


「俺か?俺のはここのじいさんが付けたんだ。」



そう言って、ブランシュさんは私の横を通り過ぎ、後ろへ回ると、ふさふさの尻尾を揺らして建物の壁をふぁさりと叩いた。


ここ?

視線を巡らせると、上の方に看板を見つけた。

何かのお店みたい。

いつの間にか、お店の前に立ってたんだ。


「ここって何屋さん?ブランシュさんは、ここに住んでるの?」


「ここは、骨董屋だな。古いもんがいっぱいある。そんで、ここには住んでねえ。たまに、ここで飯を貰うんだ。そん時に店主のじいさんが、俺を呼ぶ名前がブランシュなんだ。どっかの言葉で白って意味らしい。」


自慢気にそう言うと、少し照れ臭そうに尻尾を揺らし、呟く。

「結構、気に入ってんだ。」



ブランシュさんは、ここの店主さんに名付けてもらったのかあ。私もそのうち、誰かが付けた名前で呼ばれたりするのかな?


「じゃあ、私も誰かが名前をつけてくれるまで待ってようかな?」



「うーん、出来れば今、名前がある方がいいんだが。」


ブランシュさんが少し困ったような顔をして続ける。


「ここで飯を食った後、この辺りのボスの所へ、お前を連れて挨拶に行こうと思ってるんだ。だから、そんときに名前があれば自己紹介しやすいだろ。」


「挨拶?」

「ああ。お前、取り敢えず今は野良なんだろ?だったら先ずは、ボスに挨拶しとかねぇと、飯にも寝床にもありつけねえぞ。」


「そうなの?行かなかったら怒られちゃう?」


「っていうよりかは、街を彷徨いてたら、余所者だって警戒されちまうだろうな。」


「挨拶に行っても怖いことない?」


ボスという言葉に、ほんの少しびびってしまう。


「大丈夫だよ。縄張りに越してきましたっていう、ただの顔見せさ。」


ブランシュさんが安心させるように、ぽんっと私の頭を撫でる。


「ありがとう。色々考えてくれて。」


「まあいいってことよ。俺がガキの頃は、何も知らなくて大変だったからな。ちびっ子にくらい優しくするさ。」


「へへ。何だかお腹すいてきたね。店主のお爺さん、私にもご飯くれるかな?」


「ああ、くれるさ。ここのじいさん猫好きだからな。それとお前、名前のこと忘れてねえか?」


ハッ、そうだった。頼もしい先輩猫のブランシュさんの存在に安心してたら、名前のこと忘れてた!


「えっとえっと、じゃあ取り敢えずご飯食べてから考える!」


ブランシュさんは呆れた顔をする。


「まあいいけどよ。飯食いながらでも、ちゃんと考えとけよ。」


言いながら、ブランシュさんが骨董屋さんの扉を爪でカリカリと軽く引っ掻いて音を立てる。


少しすると、扉の上の方に付いているベルが、カランコロンと鳴りながら、お爺さんが扉を開けて出てくる。


「おう、ブランシュ。なんだ?今日はちびすけも一緒か?飯は用意してあるから、裏へ回れ。」


ブランシュさんは、にゃーとひと鳴きする。

お爺さんはそれを聞いてから、もう一度カランコロンとベルを鳴らして扉を閉めた。


「ついてこい。」


ブランシュさんは、骨董屋さんと隣の建物の隙間をスルスルと歩いていく。


「待ってよう!」


私は急いでブランシュさんの後に続いた。







ありがとうございました。

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