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九話

太陽に向かって飛んでいる。私は月にたどり着くよりはるかに長い間飛び続けている。

やがて私は太陽にたどり着くかなり手前で立ち止まった。

太陽に近づいた私はまずその巨大さに驚いた。地球からは月と同じくらいの大きさに見えていたのだが、それは単に太陽が遠くにあったために小さく見えていただけなのだと分かった。とにかく圧倒的であった。噴き出す炎の柱は容易く地球を一飲みしてしまうだろう。

陽神体であるため暑さは感じないのだがその熱であらゆる物を溶かしてしまうだろう。

あまりにもの怖ろしい光景に私の身は竦む。


「一体なんなの、ここは……」


この世に地獄があるとするならば、それはここのことに違いない。太陽の正体は怖るべき力と光と熱の結晶である。私は震えながら仏国土はここにはないと確信した。


気がつくと私はあの暴力と爆発の中心に引き込まれている自分に気がついた。


「吸い寄せられている!?」


蟻地獄だ。これ以上吸い込まれると帰れなくなる。自分は太陽に引き込まれて逃げれなくなってしまう。

陽神の術で作れ出した分身体であるから大丈夫だという常識はここでは通用しない。本能が否といっている。引き込まれてしまえば最後、私は滅殺されてしまう。直感して私はその場から必死で逃げ出した。

結局、太陽にも仏国土は無かった。あったのは究極の破壊力だけだった。

私は太陽から遠ざかる。


ーーー


あてどもなく仏国土を探し続けて、どれほどの時間が経ったのだろうか? この暗闇の空間では時間がどれだけ経過したのかも分からない。長い時が過ぎた気もするし、まだほんの少しの時間しか経っていないような気もする。

あれから星と光でできた雲のように見えるものの一つに向かって飛んでいるのだが、一向に近づいてこない。そこは月や太陽とは比べ物にならないほど遠くにあるのではないかと思う。

周囲を見回すとそこは氷結地獄である。全ての物が凍りついている。

ここまで来る途中、あそここそは仏国土ではないかと思われる場所があった。赤と白の縞模様の比較的大きな天体だ。だが、近づくとそこは汚らしい雲と霧の星だった。

次にあそこはと思ったのは、巨大なリングを持った天体。しかし、そこも近づくと輪は無数の岩石の集まりに過ぎなかった。

月や太陽と同じく、遠くから見ると美しいが近づいてその正体を知れば知るほど醜くなっていく。

もしかしたら、今私が向かっている光と星の雲の世界もたどり着けば失望を味わうのだろうか?

虚しくなってきた。そして、


「もう帰ろう……」


とつぶやいていた。


この世に仏国土などありはしない。私はそう結論づけた。

そして、私はもといた場所ーー地球に帰ることにした。


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