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男女比偏極社会  作者: 綾汰


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閑話 「貞操逆転学園」1

俺の名前は松本幸四郎まつもとこうしろうだ。


俺は男女比が女性側に傾き、男性の希少価値が高い世界に転生した。

前の世界は男女比が一対一だったはずだ。

前世の記憶を思い出したのはつい最近のことだ。

前世の記憶が遺伝したのかもしれない。


国に強制的に学園に入れられることになったときはうんざりしていたが、

今となっては最高の気分だ!


今日は待ちに待った入学式!

共学校に通うのは初めてだから緊張するけど、

俺はこの世界の男とは違うからなんとかうまくいくはず!


家から学校までは車で移動することになっていた。

だけどめんどくさいし、この世界のきれいな女性をじっくり見たいから、

歩いて学校に行くことにした。


家族からは猛反対を受けたが、男子パワーでなあなあになった!

一応、近くに護衛がいるらしいが、得意の隠密技術でどこにいるか分からない!

助けを求めたら、一瞬で近くに現れるから驚きだ。


学校への道を歩いていると、新入生と思われる女性がちらほら目に入るようになった。

みんなきれいに見える。

女性の競争倍率が高いこの世界ではおそらく、女性の武器である美貌のレベルが高いんだろう。

実際に見てみるとテンションが上がる!


「男だわ!!」

「え…どこどこ!」

「わあほんとにいる!」

「はじめてみたわ……」


あたりの女性が増えてくるにつれて集まる視線も増えていく。

まるで有名人になったかのようでまた気分が上がる。

(でも、これがこの世界の“普通”なんだよな)


多くの人と目が合う。

そのたびに彼女たちの頬が染まる。


そして、大勢いる女性の中でひとりの女性と視線が交差する。


「っっっ!」


彼女は美しい女性の中で群を抜いて美しかった。

花畑の中で、青い一輪の花が大きく咲いている。

俺は神秘的な彼女の姿に見とれていた。


青い、青い髪。

彼女のロングヘアーと、きめの細かい肌は、朝の光で美しく輝いていた。


俺が彼女に見とれている間に、彼女は校内に入っていった。


俺は彼女についていった。


入学式は校内の体育館で行われた。

男性の座る席と女性の座る席は離れていて、女性の人数は男性のそれの数十倍だ。

1学年で12クラス、480名で、男子は20人しかいない。

1クラスにひとりかふたりの男子生徒がいる。


校長先生の、数分経ったら内容をすべて忘れてしまうようなありがたい話のあと、

新入生代表による挨拶が行われた。


新入生代表は今朝見た彼女だった。


「朝の陽光が期待と不安が混じる私たち新入生を癒すように優しく、

向かい入れてくれました。

私たち新入生一同は自分の行いに責任を持ち、自省と改善を繰り返すことによって、学校生活を満足のいくものにするために最善を尽くします。

新入生代表、神崎瑠璃」


(神崎瑠璃か…素敵な名前だ…)


彼女の簡潔な挨拶が終わり、皆、教室に向かう。


俺のクラスには俺のほかに男子が一人いるようだ。

俺の席は教室の一番うしろの窓際の席で、俺の隣にその男子がいた。


そして、一番重要なのは――

神崎瑠璃さんがこのクラスにいることだ。


心の中でガッツポーズをとる。


気分が高揚したまま隣にいる男子に話しかける。


「俺の名前は松本幸四郎だ。男子同士よろしくな(にこっ)」


「うっ…うん、松本君、よろしくね」


「幸四郎でいいよ。名前は?」


「僕の名前は榊原怜だよ」


声は少し高めで、どこか緊張しているように聞こえた。

そう言って、彼は小さく頭を下げた。


その仕草が妙に丁寧で、男子というより女子みたいに見えた。


(顔が整っている男子だなあ)


この世界は男子が少ない。

顔が整っている男子がいても、別に不思議じゃない。


「榊原怜だな。よろしく!」


そういって俺は彼と握手した。


彼の手は手汗で湿っていた。

この時の俺は、彼の顔がほんの少しだけ赤くなっていたことに気付かなかった。


そして、その様子を神崎瑠璃さんだけが静かに見ていた。


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