第24話 映画への道のり
橋本さんと美夏さんと映画を見る日になった。
橋本さんがまた別の人を誘ったのだが、それは野々花さんだった。
4人での休日が始まる。
「今日はどんな映画を見に行くんですか?」
「恋愛ものです。女性同士のひと夏の恋を情熱的に描写したものらしいです」
私の質問に橋本さんが答える。
「それは面白そうですね。情熱的ですか……」
「同性愛の映画は大丈夫そうですか?」
「そうですね……たまたま好きになった人が同性だったと捉えれば十分なんでしょうか」
この世界ではどんなふうに同性愛が見られているか分からない。
男性が貴重なこの世界では“しょうがない”と捉えられるのか、
それとも御法度なのか。
だが、そこが見どころだ。
「いい考えですね。好きな人がたまたま同性だっただけですもんね……だけでは済まされないのかな……」
橋本さんは同性愛についてあまり詳しくないようだった。
「私はいいと思うぞ」
美夏さんは頷きながら言う。
「恋という概念に性別は関係ないからな。
ただ……この世界の女性は多くが男性を求めている。
その点で、同性愛は珍しいと言えるな」
橋本さんがさらに続ける。
「だが、珍しいから……大多数と違うからといって悪いということではない。
むしろ素敵だと思うぞ。純愛は美しいものだ」
課長の言葉は温かくて、素敵だった。
「私も……」
橋本さんが口を開いた。
「恋のベクトルは誰に向けてもいいと思います。
互いに満足できるなら十分でしょう。
だけど、自分がそうなると想像するのは難しいです」
その言葉に野々花さんがふわっと笑う。
「でも、橋本さんは心が躍るような恋がしてみたいんですよね?」
「はい、、、そうですね……」
「じゃあ今回の映画は刺さると思いますよ。
誰かを好きになる気持ちは性別より大事だと思うので」
野々花さんの言葉は優しく、芯があった。
(たしかに)
恋愛というのは理屈では語り切れないものなのかもしれない。
たまたま同性だった。
たまたま異性だった。
それだけのことかもしれない。
「霧崎さんは、どう思いますか?」
橋本さんがこちらを見る。
その瞳はまっすぐで、どこか不安そうでもあった。
「……誰を好きになるかは、自由でいいと思います。
性別じゃなくて、その人自身を見て決めるものだと思うので」
そう答えると、
橋本さんは少しだけ目を見開き、
それからゆっくりと微笑んだ。
「……素敵な考え方ですね」
横で美夏課長が小さく頷く。
「霧崎くんらしいな。
私はそういうところ、好きだぞ」
「えっ……」
課長はさらっと言う。
野々花さんはくすっと笑い、
橋本さんはなぜか耳まで赤くなっていた。
(……なんでみんな照れてるんだ?)
自分ではよくわからない。
ただ、4人で歩くこの道が、
いつもより少しだけ賑やかに感じた。
映画館の看板が見えてくる。
「じゃあ、行きましょうか」
橋本さんが言う。
「うん、楽しみです!」
野々花さんが笑う。
「泣く準備はできてるぞ」
美夏課長が胸を張る。




