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男女比偏極社会  作者: 綾汰


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第21話 約束

翌朝、小百合さんにメッセージを送った。


「今日か明日、もしくは週末、一緒に配信の機材を買いに行きませんか?」


小百合さんとなら、きっとネットで調べて買うよりもいい結果になるだろう。


昼休みのときに、送ったメッセージに返信が来ていることに気付いた。


「今日の夕方で大丈夫ですか?」


「もちろんです」


メッセージを返した私は、美夏さんと橋本さんと一緒に食堂に行った。


「二人は休日はどんな風に過ごしたんだ?」


「ええと」


橋本さんが私を見つめる。


「もしかして二人でどこかに出かけたのか?」


「はいそうです」


「はい......」


勘のいい美夏課長は気づいたらしい。

美夏課長はなんとも思っていなさそうだった。


「そうなのか。どこに行ったんだ?」


「焼肉です」


「それはいいな。今度私も連れて行ってくれないか?」


「もちろんです、課長」


橋本さんのバッグには、先日一緒に買ったお土産のキーホルダーがついていた。

美夏課長が気づいているのか、私にはわからなかった。


「課長は休みの日は何をしたんですか?」


「私は家でゆっくりしたり、友達と映画を見に行ったりしたぞ」


「いいですね。どんな映画を見たんですか?」


「最近話題となっていたアニメの映画だったな。友達に誘われて見に行ったが、想像以上のすごさですっかり虜になっていた」


「すてきな体験だと思います」


本当にいい映画を見た後は、世界が変わったように見えることがある。


「そうだな。実は、私は普段休みは家を出ることはあまりない」


「どうしてですか?」


「せっかくの休みだからって、スケジュールをいっぱいにしても心が満たされるとは限らないからな」


「なるほど。たしかにそうですね」


「ところで、橋本さんはどんな映画が好きなんですか?」


橋本さんと呼ぶか、透香さんと呼ぶか少し悩んだ。

彼女は気にしていない様子だった。


「私は映画をあまり見ないですが、アクションや恋愛ものですかね。心が躍るような体験がしたいです」


「なるほど。見ると心が熱くなるような映画を見たいですよね」


そのときだった。


橋本さんの指先が、バッグについたお揃いのクジラのキーホルダーをそっと握った。私はそれに気づいていなかった。


そして、誰にも聞こえないくらいの小さな声で


「...昨日みたいに、胸がぎゅってなるような...」


ほんの一瞬のつぶやき。

美夏課長も、私も気づかなかった。


けれど、

彼女の頬がわずかに赤くなっていたことだけは、

後になって思い返して気づいた。


「私も恋愛ものは好きだな。私の意見だが、たいていの女性は心が燃えるような恋をしたいと思っているはずだ」


「私もそう思います」


橋本さんと美夏さんは頷きあっていた。


「そうなんですね。心が燃えるような恋ですか......私はしたことないですね」


(仕事で燃え尽きたことはあるが)


「私もだ」


「私もです......」


私たちは頷きあった。

この世界で女性はどのように恋をして、愛を理解するのだろうか。


「今度一緒に恋愛ものの映画を見に行きませんか?」


「いいですね」


「そうだな」


私たちは心が燃えるような恋愛というものを見に行くことを約束した。


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